虹ヶ咲スクールアイドル同好会

9色の虹が咲く。アルバム「TOKIMEKI Runners」レビュー

2018年11月21日に発売された、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のデビューアルバム「TOKIMEKI Runnners」。「ラブライブ!スクールアイドルオールスターズ」のテーマソングを筆頭に、メンバー9人のソロ曲が一気にお披露目となった一枚です。

「いきなりソロ曲?」と思うやもしれませんが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はユニットではなく、この学園に集うスクールアイドル一人ひとりがライバルとして、仲間として互いにNo.1スクールアイドルを目指す場です。ソロの集まりである彼女たちのデビューアルバムがソロ曲になるのも必然というもの。

そんな彼女たちのイベント「校内マッチングフェスティバル」が間近に迫ったこのタイミングで、アルバムレビューを書きました。いつもの畑亜貴氏が作詞をしたのは表題曲のみ。新たな風を吹き込むこのアルバムに、音楽的視点とはまた別のベクトルから迫ります。

TOKIMEKI Runners(虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)

9人が夢に気づく瞬間、夢に向かって走り出す様を描く表題曲。さわやかな王道の「ラブライブ!」サウンドの中で、「どうなるかは僕ら次第」という言葉が力強く響きます。サビ前から一気にリズミカルになり、聴いているこちらもワクワクしてくる一曲です。

とにかく本当に「ワクワク」が連発されて、これが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のテーマなんじゃないかと思えてくるほど。随所にウインドベルが入り、「キラキラ」を演出するのも「ラブライブ!」らしさですね。

人の顔写真を、透過しながらいくつも重ねると「美人」に近づいていくと言います。声も同じで、うまく重なり合った声は実に美しい。その中でも個性が出るものですが、この9人が合わさった声はとても「やさしい」んですね。耳馴染みがよく、素直に心へ入ってくる曲です。

夢への一歩(上原歩夢)

マンスリーランキング2019年2月度で1位に輝いたのも記憶に新しい2年生・上原歩夢(CV:大西亜玖璃さん)。誘われたことがきっかけでスクールアイドルを始めたという彼女は、スクールアイドルとしてはまっさらな存在です。だからこそ一歩ずつ夢に向かって歩んでいけるわけですが、「夢への一歩」は、そんな彼女の素直さが感じられる一曲に仕上がっています。

自分がスクールアイドルとして未熟とわかっているからこそ、一緒に走ってくれる人、支えてくれる人の存在をちゃんと把握できる。「友達とか親友を超えた 切磋琢磨できる『仲間』さ」という言葉は、2曲目にして虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のあり方を示していると言えるでしょう。

そんな「あなた」がいるから、「逆境も不安も乗り越えていける」。そして「これから私があなた 支えられる様に」「今度は守りたい」という決意まで歌う歩夢。そう、彼女は素直なだけじゃなくて、こうした強さも兼ね備えているのですね。

ダイアモンド(中須かすみ)

スクールアイドルへのあこがれは人一倍強い1年生の中須かすみ(CV:相良茉優さん)。負けず嫌いな一面もあわせもっていて、「かわいいアイドル」を演じながらもライバル心が隠し切れてない姿は、この曲でも描かれています。

そんなかすみの曲だけあって、どストレートな間奏のコールはライブでも思いっ切り盛り上がりたいところ。あふれ出す「スクールアイドルが好き!」という気持ちを、かすみと一緒に表現したいポイントです。

ただ、かすみにとって虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、単なるスクールアイドルをする場所ではない様子。そんな本心を歌うサビに正直グッときちゃいました。ぜひ聴いて確かめてみてください。

あなたの理想のヒロイン(桜坂しずく)

1年生ながら、虹ヶ咲学園に最近編入したばかりという桜坂しずく(CV:前田佳緒里さん)は、演劇部に所属するしっかり者の優等生。彼女が歌うのは「あなた」に向けたラブバラードです。歩夢とはまた別のベクトルで正統派なアイドルソングですね。

演劇部のしずくらしい言葉が散りばめられた歌詞。「ずっと側で ただの後輩を演じさせてください」という言葉を筆頭に、彼女の奥ゆかしさがじんわりと沁みてくる一曲になっています。この曲で好きになった人も多いんじゃないかなあ。

そのルックスも相まって、まさに“ヒロイン”なしずく。この圧倒的ヒロイン力には、ちょっと抗えないかもしれませんよ……?

Starlight(朝香果林)

僕のイチオシです。抜群のルックスとプロポーションをもった、モデルを目指す3年生の朝香果林(CV:久保田未夢さん)。ちょくちょく後輩たちをいじったりするんですが、意外とピュアな一面を持ち合わせているのがまたたまりません。

そんな果林が5曲目にぶっ込んでくるのが、クールでスタイリッシュなダンスナンバー「Starlight」。ピュアなフェイスは封印し、情熱的なパフォーマンスで情熱的な声援を求める果林の魅力が伸びやかに発揮されています。

ベクトルは違えどアイドルらしい曲が続いた中で、このセクシーな一曲のカウンターには度肝を抜かれます。最高音から始まるサビを筆頭に難易度が高い曲ですが、久保田さんがどう表現するのか、ぜひとも注目したいところです。

めっちゃGoing!!(宮下愛)

僕のイチオシです(2回目)。ルックス通りノリが良く、でもダジャレが好きなおばあちゃんっ子という多彩なパーソナリティをもつ宮下愛(CV:村上奈津美さん)。彼女が歌う「めっちゃGoing!!」は実にダンサブルなミドルチューンになっています。

ある意味「Starlight」はこのアルバムでは異質な曲で、どの曲のあとに「Starlight」が来るかと同じように、「Starlight」のあとにどの曲が来るかもかなり大事だったんじゃないかと思います。その点では、「めっちゃGoing!!」はカウンターへのカウンター、ドンピシャの一曲なんです。

「Starlight」と同じEDM曲ですが、ややテンポの落ち着いたミドルチューンに乗せた実に前向きな歌詞が、「愛らしさ」を感じさせてくれます。誤解を恐れずに言えば、アイドルの世界に戻してくれる曲。英語歌詞の発音が曲にそって流れるようで、聴いていてめっちゃ気持ちいいんですよね。

眠れる森に行きたいな(近江彼方)

3年生ながら、こちらも最近編入したばかりという近江彼方(CV:鬼頭明里さん)。いつも眠そうにしている彼方らしい言葉が、童話の世界を思わせるゆったりとした曲調に乗って耳に届きます。

とはいえ、彼女はただ眠そうにしているだけじゃないんですよね。眠ることも含めて、情熱を傾ける対象にはそれを惜しまない“勢い”も感じられます。これは歌を聴くというよりは、歌詞を読むほうがわかりやすいと思いますので、ぜひご一読を。可愛いですよ!

そんな強弱ある歌を、実に表現力豊かに歌っている鬼頭さんの技量も見逃せないポイントです。音程やリズムとはまた違う意味で、このアルバムで一番難しい曲かもしれませんね。

CHASE!(優木せつ菜)

優木せつな(CV:楠木ともりさん)は、2年生にして他校からも注目を集めるという実力派スクールアイドル。多忙のせいか「校内で姿を見た人はいない」という噂まで立つほどですが、いつも元気いっぱいの笑顔とパフォーマンスが持ち味です。

そんな彼女が贈る「CHASE!」は、夢を追いかけることを力強い歌声で応援する、アルバム唯一の鍵盤入りロックナンバー。「眠れる森に行きたいな」と後述の「Evergreen」というスローな楽曲に挟まれて非常に際立っているうえ、その2曲も引き立ててさえいます。

アイドルソングの王道とはまた違う「カッコよさ」。でもそのカッコよさは、いささかの切なさを感じさせるメロディに由来しています。切なさって、不思議と胸をかあっと熱くさせますよね。

Evergreen(エマ・ヴェルデ)

エマ・ヴェルデ(CV:指出毬亜さん)も、虹ヶ咲学園に最近編入したばかりの、スイスから留学してきた3年生。自然を愛するエマの癒やしボイスが奏でるのは、異国情緒あふれる一曲です。

「大地」「空」「太陽」「自然」と彼女らしい言葉が続くのですが、その中に「こういう人になりたい」という願いが強く表現されています。「眠れる森に行きたいな」でもそうですが、大人しい子の歌詞に「!」をつけると、内に秘めたものが一気に表面化されるのがとても興味深いです(作詞に参加されているRyota Saito氏の手法じゃないかと勝手に推測しています)。

自然ってやっぱり、どこまでも広がるイメージがあります。そのイメージにぴったりな指出さんの伸びやかな歌声にも注目。豊かな緑いっぱいの風景が、目の前に広がることでしょう。

ドキピポ☆エモーション(天王寺璃奈)

やたら編入生が多い虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ですが、天王寺璃奈(CV:田中ちえ美さん)は内部進学した1年生。感情を顔に出すのが苦手で、代わりに手書きでそれを伝える「璃奈ちゃんボード」を常に携えています。

アルバムのラストを飾るのは、そんな璃奈が歌う「ドキピポ☆エモーション」。ピコピコサウンドの中に、スクールアイドルとして思いを伝えたい一生懸命な彼女の姿が描かれています。素顔が見えないながらも、そんな思いやあり方はスクールアイドルの王道と言えるのではないでしょうか。

ライブに参加される諸氏にはぜひ、コールをぴったり言い揃えていただきたいところ。R・I・N・A・C・H・A・N・B・O・ARD 璃奈ちゃんボード! 盛り上がりそうですね。

思いや内面を描く曲で、スクールアイドルがより身近に

多分なんですが、アニメ化前のμ’s楽曲……特にソロやデュエット・トリオ曲が好きだった人にはがっつり刺さるアルバムじゃないかと思っています。9人全員でスクールアイドルとして目指すところを歌うのも良いのですが、一人ひとりが何を考え、何を目指してスクールアイドルをやっているのかがわかると、彼女たちそれぞれがより身近に感じられるんですよね。

個々がソロとして活動する虹ヶ咲学園のスクールアイドルたち。このアルバムは9人を理解する水端であり、ゆえに聴き込めば聴き込むほど、変わりゆく世界へ飛び出すスクールアイドルとともに走り出したくなる――そんな一枚に仕上がっています。

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