響け!ユーフォニアム3

黒江真由、自信ありすぎ問題と責任のワリカンー「響け!ユーフォニアム3」第2話感想

ちょっと今回は立て込んでいるので手短にいきます。書きたいのはタイトルの通りで、1つは黒江真由について。もう1つは黄前久美子、高坂麗奈、塚本秀一の3人について、です。

黒江真由が望むもの

高校3年生春というイレギュラーな時期に転校してきた真由。自己紹介で言った「友達もいなくて心配していたんですが」という言葉とは裏腹に、緊張感が微塵もないというか、むしろ余裕がある佇まい。強豪校から来ただけあって、大舞台を経験してきたような落ち着き。何なら、釜屋つばめの方が緊張していたくらいでしたね。

その割に、真由は吹奏楽部に入ることに躊躇しています。なぜか?

久美子との会話で本人は、「部のバランスとか崩れたりしないかなって」と探りを入れ、「本当に? 本当に大丈夫?」と確認し、「迷惑だったらすぐ言ってね。私はいつやめても構わないから」と保険をかけるほど。そしてついに口にしたのが「だって嫌じゃない? 私のせいで誰かが楽器代わったり、コンクールに出られなくなったりしたら」。

……なんという自信の表れ。

でも別に、真由は自信があって喧嘩を吹っかけたいからこう言っているわけではないはずです。彼女が望んでいるのは「私、みんなと楽しく演奏したいから」であり、競争ではない。何なら、競争したが故の、相手と自分お互いのレベルアップでもない。

ここで、1話の感想で書いた、真由が「全国金賞の誓い」を行っていない事実が浮かび上がってきます。厳しい練習に加え、トランペットのソロやオーディションでステージに立つメンバーを決めてきたように、北宇治は部内の競争を経て力をつけてきました。その文脈から、真由の志向は明らかに外れているんですよね。

彼女がこのような志向になったのは過去の経験が影響していることは間違いないはず。加えて、何が起きたのかもなんとなく想像はできますが、もう少し様子を見たいところです。

気になったシーンがもう1つ。久石奏との1on1で、北宇治高校を選んだ理由を「ここらへんでは一番吹奏楽が強かったから」と答え、吹奏楽部狙いとも言いけれないけど、「やるんなら、うまいところの方がいいかと思って」。何をやりたいかというと「私、合奏が好きだから」。

つまりは、うまいところで合奏がしたい。

これも自信の表れのようにも見えますし、あるいは自分が埋もれるくらいのところ、要するに競争が発生せず仲良く合奏できるところを求めているとも言えます。久美子と奏のやり取りを見て「私もそんなふうに仲良くなれればいいのに」と言うくらい、他人と合わせることにこだわっている。その理由が何なのか、注視すべきポイントと言えるでしょう。

「久美子世代」が取り組む責任のワリカン

2話のトピックスとしては、自由曲を久美子、麗奈、秀一の3人で選んだ点が挙げられます。ここで描かれているのは、久美子世代の部長・副部長・ドラムメジャーのあり方だと思うのです。

まず下味としてつけられているのが、自由曲への意見を滝昇先生に求められたあとの3人の会話。ここで秀一が、麗奈いわく「信頼されているのは久美子なんだから久美子が全部決めればいいって聞こえる」言葉のかけ方をしました(このシーンは、責任を負うことに対する男女の受け取り方の違いが如実に表れたように思うのですが、それは機会があれば改めて)。麗奈の指摘を素直に受け取る秀一も素直ですよね。

いくつかのシーンを挟んだ後、釜屋すずめの暴走に振り回されて疲弊した久美子に対して、麗奈が声をかけます。「やっぱり部長向いてないかも」と嘆く久美子に、麗奈は自由曲の話を持ちかけるんですよね。なんかもうすごいキラキラした目で、どの曲がいいか久美子に聞いてくる。

結果として、久美子は麗奈・秀一と同じ「一年の詩 ~吹奏楽のための」を選びました。麗奈は3人とも同じ楽曲を選んだという事実をもって、3人が同じ方向を向いている、つまり久美子にはちゃんと支える人がそばにいることを示したわけです。

……なんという自信の表れ。

でもこの自信は真由のそれとはちょっと違っていて、信頼から来る自信ですよね。なにはともあれ、ストレートに「部長として信頼されている」、と言って励ました(つもり)の秀一との対比としても機能していたと思います。

ただ、忘れちゃいけないのが、それでいて秀一もちゃんと成長しているということではないでしょうか。

直後のシーン。自由曲の楽譜が部員に配られたあとにコメントを求められ、言いあぐねる久美子。それを見たからではないでしょうけれど、秀一は「演奏のことだし」とドラムメジャーである麗奈を前に出しています。久美子じゃなくて、麗奈にリードしてもらった。麗奈に水を向けるのは性格上久美子には難しく、この場では秀一にしかできなかったこと。ちゃんと責任をワリカンしているんですよね。

気になる義井沙里の表情

麗奈が吉川優子と同じポーズで全国金賞を取りに行く宣言をした点は熱いシーンでしたが、そんな麗奈とは裏腹に、浮かない顔で拍手をするのが1年生の義井沙里でした。

彼女においては2話だけでもいくつかきっかけが散りばめられています。まずは「北宇治のクラはレベルが高いので、足を引っ張らないようにと思って」朝練に臨んでいること。ここは文字通り、北宇治のクラリネットのレベルが高いという情報が出ている。その中で沙里が、「1年の中では群を抜いてうまい」というのはオーボエの剣崎梨々花の弁です。

そんな前提があったうえで、久美子は「全国で北宇治の演奏をするなら、一番最初の音はクラリネットが良い」と言って自由曲を決めた。しかもタイトルが「一年の詩」。まータイトルについては強引な関連付けな気がしますが、それ以外を拾ったとしても上述の通りです。沙里の周りには散りばめられた要素が多すぎて、何が起こるのかワクワクしますね。

もう全部意味深なカットに見える

とか書いていたらこの不穏すぎる次回予告! 第3話も楽しみです。

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