コニー・クリステンセンは“上手くいった羽咲綾乃”―「はねバド!」第4話感想

コニー・クリステンセンは“上手くいった羽咲綾乃”―「はねバド!」第4話感想

仲間がいるから強くなれるのか、強くなる上で仲間は必要ないのか――。

「はねバド!」4話は、初めて1本で話を落とさなかったエピソードとなりました。キャプテン・志波姫唯華をはじめとしたフレゼリシア女子短期大学付属高校の面々が初登場、そしてコニー・クリステンセン。圧倒的な実力を見せつけ、彼女は仲間の無意味さを訴えます。

今回は「仲間」を軸にした、羽咲綾乃とコニーの対比が描かれました。そしてそれは、何かしらの思いを抱える伊勢原空に通じることかもしれません。

「チーム」に目覚める綾乃、一人で戦うコニー

第3話で「バドミントン大好き!」という動機を思い出した綾乃。それは彼女の(そして荒垣なぎさの)才能であり、この才能に「綾乃を受け入れる人々」という要素が加わることで、この天才少女は「チーム」の中でバドミントンをする新しい感覚に目覚めます。

髪型改造や「あやのん」呼びは、女の子らしいお近づきの証。自分が受け入れられつつあることを感じる綾乃は、これまで彼女の中になかったモノを胸に抱きます。すなわち、仲間からの期待。一人で戦ってきた綾乃が知らない、温かい感覚です。

期待を受け取った綾乃は、それを貢献という形で返そうとします。自分から立候補して買い出しに行く道中、コニーとの会話で、チームに対してポジティブな言葉を繰り返しているのが印象的です。

「最近、やっぱ楽しいかもって思ったし、仲間もできそうだから」
「今のチームでなら、楽しくやれそうな気がするんだ」
「みんなの役に立てるの、うれしい気がして」

そして、最後にこう言うのです。「勝って、みんなの仲間になりたい」。勝利することで、自分は北小町高校バドミントン部の仲間(≠部員)になれると思っている。勝利によるチームへの貢献で、自分が仲間であることを証明しようとしているのです。

一方、初登場時からマイペースぶりを発揮するコニー。周りを顧みない彼女の言動は、性格の一言では片付けられません。彼女は元から「チーム」に入っていないのです。

部活はただバドミントンをする場所なだけ。だから周りに合わせて行動しないし、一人でダブルスもやってしまう。そして何より、1vs2でも勝ててしまいそうなくらい強いのです。逆に言えば、コニーはそこに至るほどの才能を持っており、それを実力で証明し続けてきたプレーヤーです。

この姿は、「中学時代のまま上手く事が進んだ羽咲綾乃」です。

3話を思い出してみると、綾乃は中学のバドミントン部を「みんな弱い」という理由でやめています。代わりに入ったクラブチームには、芹ヶ谷薫子という「強い子」がいると心を躍らせている。綾乃にとって部活やクラブチームはバドミントンをする場であり、自分と同じかそれ以上に強い相手と戦うための場でした。

綾乃の元から母がいなくなったのはこのあと。一方、コニーの元には母“役”の神藤有千夏がおり、雑誌の切り抜きを見るとその関係も良好な様子。自分の成長を母のように見守ってくれるコーチと、コニー自身による実力の証明が重なり、彼女は誰も目が離せないパフォーマンス(そしてチャイルディッシュな一面)を披露し続けてきました。そして、チームの感覚を知らないまま代表選手にまで上り詰めた。彼女は、“上手くいった羽咲綾乃”なのです。

ヒナがコニーに話しかけたシーン。「やめとけばいいのに……どうせ相手にされないんだから」というチームメイトの言葉から、普段のコニーの態度が伺えます。

そんなコニーが、綾乃との対戦を熱望しています。他の部員への接し方を見る限り、まるで他人に興味がなさそうな彼女は、綾乃にだけはこだわっている。

このアニメは、ここまでのところ「バドミントンをやる自分の存在証明」を描いています。それに則って考えるならば、コニーも綾乃と対戦し、何かを証明しようとしているのではないでしょうか。そしてその上に、「仲間が無意味であること」が乗っかっているような気がしています。

コンビニでの一幕。綾乃の「みんなの役に立てるの、うれしい気がして」という言葉に、コニーは「気がして? 変なの」と返しています。そんなの当たり前じゃんと言うかのようです。つまり、「仲間」という概念は理解している。

そしてコニーは、綾乃が「北小町高校の羽咲」であることを知ってから豹変しています。彼女が証明したいのはずっと言っているように「羽咲綾乃を倒す自分」であり、当の綾乃が仲間を肯定している以上、コニーは自然と仲間を否定する側に立つ。仲間云々は、「羽咲綾乃問題」の上に成っているのです。

もしかすると、コニーにとってバドミントンは、ただ楽しいものではなく、何かを勝ち取るものなのかもしれません。バドミントンは「今のチームでなら、楽しくやれそうな気がする」などと言ってやるものではない。何かを勝ち取り、自分が何者かを証明するものです。コニーが神藤有千夏の教え子であり、綾乃に照準を合わせている以上、彼女が証明しようとしているのは「自分がバドミントンの上で、有千夏の本当の“娘”であること」ではないでしょうか。

そしてその本気ぶりが、伊勢原空に通じるのです。

伊勢原空は何を思う?

ここで空が絡んでくるのか……と、原作を読んだ方々は思ったのではないでしょうか。あんなにキーパーソンらしい動きをする登場人物ではなかったのですから、僕も驚きました。

彼女が何を考えているのか、正直なところ今はわかりません。綾乃に対して思うところがあるのかもしれませんが、それが嫉妬なのか何なのか……。綾乃が「空ちゃん」と呼ぶのに対し、空は未だに「羽咲さん」です。綾乃からすると、「あやのん」と呼ばれるようになったことを仲間に返した形ですが、空との間には壁があるようです。

そんな空が初めてと言っていいでしょう、感情を露わにしたのが、練習試合で負けたシーン。「やっぱ強いな〜」と海老名悠が苦笑いしてコートを後にするところ、はっきりと悔しがっていたのが空です。本気で勝ちにいっていなければ、あの顔は出てきません。

振り返ってみると、その楽観的な性格に隠されていますが、悠はチームの勝敗について語る時に「あやのん、頼りにしてるよ」「こっちにも新垣先輩もいるし、あやのんもなんかスゴいっぽいし、意外と勝てちゃうかもだよね」と、どこか他人任せなところがありました。一方、同じくあっけらかんとした性格の葉山行輝ですが、彼らは男子は部員が少ないぶん、自分たちの勝敗がチームの勝敗に直結します。ここにも、「チーム」「本気」「勝敗」といった要素が散りばめられている気がしてなりません。

自販機の前で話し込んでいた行輝と空、彼らに対し買ったドリンクを隠して笑顔を張り付けたままの悠。脇役たちにしっかりと役割が与えられているのがアニメ版「はねバド!」の良さ。彼女たちが抱える感情もまた、見どころの一つとなりそうです。

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