映画の感想

痛ましい事故とそれに直面したクラブを真摯に描く映画「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇-」感想

香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに入団した直後の封切りというのは狙っていたのか偶然なのか。いいタイミングで公開された「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇-」を観てきました。

この映画は1958年に起きた「ミュンヘンの悲劇」という事故を題材にしています。チャーター機の航空事故で、主力選手数名をはじめ多くの人が命を落とした事故です。

今でこそ当たり前になったチャンピオンズリーグ(当時の名称ではチャンピオンズカップ)に、独立主義を掲げていたイングランドサッカー協会の反対を押し切って初のイングランド代表として参加していたマンチェスター・ユナイテッド。日程面で協会の協力を得られなかった彼らは寒波の中で強行的な移動を強いられることになりますが、その結果起こったのが「ミュンヘンの悲劇」でした。この映画は事故の前後を描いています。

【参考】泳ぐやる夫シアター やる夫で学ぶJリーグの旅ワールドツアー イングランド・プレミアリーグの巻 前編 

いかにもお涙頂戴だったらちょっと嫌だなァと思っていたのですが、そういう映画ではありませんでした。うわーっと盛り上がる感じではないのですが、静かに波が来るような……。痛ましい事故とそれに直面した選手やスタッフが真摯に描かれています。

選手ではボビー・チャールトン、コーチングスタッフではコーチのジミー・マーフィーを中心に物語が展開していきます。事故後のチャールトンの落ち込みようと、マーフィーの奔走ぶりの描写がすばらしかったです。単純なストーリーとしてハイライトするなら、チャールトンが復帰するところが該当すると思うのですが、そこは意外と淡々としていました。前述のとおり、事故と向き合うところの方をメインにする意図が伺えます。

その2人の演技もさることながら、一番味が出ていたのは監督のマット・バスビー。「ミッション・インポッシブル2」でも悪役として名演技を披露したというダグレイ・スコットが演じていました。その様はまさに「ボス」。世紀の名将を見事に表現したとおもいます。

締め方は先日観に行った「マネー・ボール」に近いです。しかしあの年のアスレチックスにしろ当時のマンチェスター・ユナイテッドにしろ、奇跡の復活を遂げたチームが最後の最後で負けること、現実では割とよくありますよね……その上手くいかないところが、スポーツの切なさを担っているようで好きです。

一緒に観たサッカーをまったく知らないお姉ちゃんも「面白かった、ウルッときたわ」って言っていたので、そういう層にも届く映画だと思います。赤いユニを着て11人で行ったらおひとり1,000円になるらしいので、ぜひ!

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