映画の感想

型にはめられた登場人物はこんなにも魅力がない―映画「GIRL」感想

制服デートで映画を観てきました。「GIRL」です。奇しくもその前日、「超映画批評」さんで「GIRL」がすごい酷評されているのを読んで、そんなにひどいの? 逆に観てみたくはあるけど……と思っていた矢先のお誘い。ドンピシャでした。

結論から言うと、「そういう映画だと思って観れば面白い」……かな?

「きっと、あなたがここにいる」というキャッチフレーズの元、世の女子たちのために用意されたヒロインは4人。実年齢とやりたいギャル系ファッションのギャップに苦しむ由紀子(香里奈)。年上の部下との軋轢を抱える聖子(麻生久美子)。一回り年下のイケメン新入社員に心をときめかせながら、自分像によって素直に気持ちを表現できない容子(吉瀬美智子)、仕事に育児にがんばる自分にプライドをもつ孝子(板谷由夏)。それぞれがそれぞれの山を超えていく姿を描いた映画です。

観終わった直後の感想は、「世間の女子なる人はこんなに形ばかり見る生き物なの?」でした。飛び交う「女子力」「○○女子」という言葉がまさに形そのもの。自分や相手を何かしらの枠に入れてどこかに属させることで安心したいのかなー……と。

そういう意味では、この用意されたヒロイン自体が枠そのものです。誰かしらに自己投影して、安心したい映画……と思えば、よくできています。この中に自己投影先があるの!? という問題はまた別として。男性キャラクターも登場しますが、全員「女子」の引き立て役です。前述のレビューで前田有一さんがおっしゃっていた「ことごとくリアリティがない」のもうなづけるのです。引き立て役であって、それ以上の干渉はいらないのですから。

ただ、この映画のターゲットから全くもって外れている自分が言うのもなんなのですが、ヒロイン4人がまったく魅力的に感じられませんでした。最後まで全員「女子」の枠を持ち続けてしまっていた。ラストのシーンで聖子が「女! 女子!」と連発(喧嘩相手の哲夫が典型的な男尊女卑思想家だったとはいえ)するところはドン引き……男女問わず、形に囚われている人はやっぱり魅力がない。

唯一、殻を破ったとも言えるのは堅物ながら成り行きでモデルショーに出ることになってしまった脇役の博子(加藤ローサ) でしょうか。しかしその時のモノローグで「マジヤバイ」と言った時は椅子からズッコケそうでした……。

映画の作りに従って男性的な見方でまとめるならば「『女子』という言葉などの形に囚われている女性は少なからずいる」と男性が勉強できる映画です。あとは女性と一緒に行けばリトマス試験紙になる映画だと思います。

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