アニメ1期感想

ラブライブ!第3話「ファーストライブ」感想 ステージに立つ者として

 なんやあの冒頭からOPへの気持よすぎる入り……!

つい声が出てしまうほどの気持ちよさ! 3人による「μ’sミュージック……スタート!」は、これからに希望を抱かせるような明るい入りでした。そのままあの見事なOPにつながりますしね。こういうちょっとした仕掛けに、ファンは喜ぶものです。

しかし、まさかあんなことになろうとは……。

今回は、アマですが同じくステージ上で歌をうたう者として共感したり熱くさせられたり、心に残る回でした。

海未がステージに立つまで

前半は海未ちゃんのあがり症を克服しようとするところから始まります。「音ノ木坂の松岡修造」こと穂乃果の、スパルタビラ配り特訓で恥ずかしさを払拭しようとするも、完成した衣装のスカートの短さにおののく海未ちゃん。

穂乃果の特訓はああ見えて的を射ていると思います。人前に出るって、慣れの部分が大きい! 僕は緊張しないタイプですが、高校や大学で演劇だったり、小さな小屋のステージで歌っていたのがよかったのかも。あとは……野球部でピッチャーやってたこと。自分だけ一段上にいて、自分が動き始めないと始まらないポジションって、なかなかないです。

慣れていないことに加えて、海未ちゃんは自己評価の低さ……というか、「アイドル」という名前に自分が見合っていないという思いがまだ強いんだと思います。2話で自分のふとももを気にしたり、穂乃果が勝手にポスターを貼ったこと(あれは「私たちはアイドルです」と宣言していることに等しいです)に怒ったり。ポスターの件は穂乃果の見通しの甘さに怒ったわけですが、裏を返せば、十分な準備をしてその名に見合う者にならなければ人前に出れない、とも言えます。A型というのも納得。

短いスカートの衣装のままなら、自分だけ制服で歌うという海未ちゃんに対して、穂乃果は「絶対に成功させたいんだもん」「3人でやってよかったって、がんばってきてよかったって、そう思いたいの」と熱弁します。スクールアイドル活動に全力を尽くす穂乃果にとって、「アイドルらしい」衣装を身にまとって歌うのも、全力の中のひとつ。

そして、自分だけ全力でも意味がない。3人全員で歩みを揃えた全力で、ステージに立ちたい。千代田区に響く「思いたいのぉー!」の叫びは、その気持ちの強さの表れ。純粋な思いに、海未ちゃんもほだされた形となりました。

余談ですが、アイキャッチ直前のカットでスカート裏のスリップがちゃんと描かれているのすごくいいですね。女の子! って感じがするなぁ。そういえば1話で穂乃果がパンフを落とした時のカットでも描かれていましたね〜。

 

衝撃のファーストライブ

さぁ、後半はいよいよ初ライブ! 一皮むけて明るくビラ配りをする海未ちゃん、手伝ってくれるクラスメイトたち、本番に向けて期待が高まります。もう、観ているこっちがドキドキドキドキしちゃうくらい。

幕の裏で緊張しながらも、「μ’sのファーストライブ、最高のライブにしよう!」と、笑顔でスタンバイする3人。そして、いざ幕が上がると――。

穂乃果の眼前には、無人の客席が広がっていました。

胸を締め付けられるようなシーン。けれど、大事なシーン。すごく綺麗に「誰もいないこと」を表現したと思います。ブザーが鳴り終わり、無音の中、穂乃果の笑顔からカメラが流れ、浮かび上がるように明るくなる無人の客席。カメラが流れている間に、穂乃果視点に移り変わっています。本当に、ステージ上からはあんなふうに客席が浮かび上がるように見えてくるんです。

フラッシュバックする、全力でがんばってきた1カ月。全部ムダになってしまう瞬間は、大泣きしても当然です。それでも、必死で泣くまいと我慢する穂乃果。泣くのを我慢するときって、あんなふうに唇が震えるよね……なんというか、そういう人間共通のしぐさばっちり描写されると、すごく共感を覚えます。

でも、とうとう我慢できずに涙がこぼれそうなその時、「行きます」と言っていた花陽が会場に到着します。「やろう。歌おう、全力で! だって、そのために今日までがんばってきたんだから!」と、息を吹き返す穂乃果。そうだよ、お客さんがひとりでもいる限り、僕らは全力でやるんだよ!

穂乃果たちががんばってきたのは、今や学校存続のためだけでも、自分たちのためだけでもありません。協力してくれる仲間たち、そして何より、大きな力を与えてくれた「観に行きます」と言ってくれた人たちのためです。これは絶対にそう。断言できます。「観に行くよ」という約束は、がんばる原動力。それを与えてくれ、本当に来てくれた人のために、ステージ上で全力を出すのです。

披露された「START:DASH!!」の歌詞は、まさに今のこの3人にぴったりの曲。「あきらめちゃダメなんだ その日が絶対来る」「悲しみに閉ざされて 泣くだけの君じゃない」。まるで物語の続きのような歌詞と、全く違和感のない曲調。ポップすぎても暗すぎても合わないこの状況に、見事にマッチしました。観ているこっちも思わずTVの前で拍手、拍手!

確かに、お客さんはいっぱい入らなかった。それどころか数えられるくらいしかいなかった。それでも、「やってよかったって、本気で思えた」ライブになったのは、今までのがんばりを全力でステージ上で表現できた証。きっと、自分たちがこれだけできるんだってことを知った瞬間だったのではないでしょうか。お客さんの数とは関係なく、スクールアイドルとして形にすることができた。いえ、むしろ、ひとりでも観に来てくれたお客さんがいた……それならば、一生懸命がんばって、たくさんの人に思いを届けることだってできるんじゃないか。その可能性があるならば、私はやりたい。最後の穂乃果の熱弁には、そんな思いが込められていたような気がします。

なんだか、こんなに純粋に画面の中のキャラクターを応援したくなるアニメって久しぶりです。声優さんが悪い意味で前に出ることもなく、熱いストーリーと可愛らしいキャラクターに魅了されることができる。だから、観終わったあとに満足感、充実感で満たされるのでしょうね。

さてさて次回は1年生回! あのライブと穂乃果に思いを目の当たりにした1年生たちはどんな行動に出るのでしょうか? 楽しみです!

……余談ですが、希のポジションはとてもおいしいですね〜。策士なところもすごくいい。絵里に対して「うちは帰ろうかな」と言ったシーン、あれは多分、希が行くと言ったら「なら私も」と、自分の意志で絵里が行かないだろうということを見越して……なのかなーなんて思いました。希の、ちょいちょい後ろでコントロールしてる感じが好きです。
今はまだ、生徒会長であろうとする絵里なんですよね。早くひとりの女の子としての絵里が観たいなぁ。

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