リトルバスターズ!第10話「空の青 海のあを」感想

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 初登場以来、最初の美魚回となりました。うまくエピソードを絡めつつ、美魚という人の色々な面を見せた回だったと思います。

 

 物静かで読書好き。表情はほとんど変わらずいつも真顔だけど、冗談を言ったりもする。そして割とマイペース(この作品の人物はほぼ全員マイペースですが、合わせる時はぴったり合わせるんですよね)。表面をさらうと、こんな女の子でしょうか。

 

 どんな人にも考え方の芯のようなものが必ずあって、美魚がそれを初めて理樹に見せたのが、歌集紛失事件でした。

 

 美魚が大切に大切にしていた、若山牧水の歌集。体育の着替えの際に紛失してしまったそれを、理樹は探す手助けをします。しかし、当の美魚は乗り気でない様子。
 美魚は周囲にうまく馴染めず、クラスで浮いた存在になってしまっています。あまりの影の薄さに「影なし」と陰口を叩かれる始末。そしてそれを本人は知っている。自分が悪意を向けられる人間だと自覚しています。彼女が、周りのクラスメイトから距離を取るのも不思議なことではありません。美魚は誰かがわざと本を隠したという悪意を見ることを嫌がります。

 

 そりゃあ、そうです。誰だってそう。嫌なことをされた時に感じるあの嫌さは、されたこと自体の嫌さもあるけど、誰かが自分に対して悪意をもっていることへの怖さもあると思うんです。強い負の感情を浴びせられて平気な人はなかなかいません。

 

 しかし、理樹はそれでも人を信じることを美魚に説きます。周囲に馴染めず、悪意に怯える美魚が、両親を亡くして天涯孤独の身になった幼い頃の自分と重なったのでしょう。そして、そこから理樹を救った恭介たちのように、「身を委ねられる人」になろうとしたのだと思います。(この夕方シーンの日陰と日向の使い方は互いの考えを隠喩していましたね。)

 

 果たして思いは通じ、本は善意ある人の手から美魚の元に戻りました。恐らく、美魚の考え方の芯にあったものは、自分はひとりで生きるのだという気持ち。「他人」という悪意ある生き物に近づくことはできないという考えです。それを覆したのが理樹でした。だからこそ、美魚はリトルバスターズに興味をもったのだと僕は思います。

 

 作中に出てくる若山牧水の歌「白鳥は哀しからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ」。美魚と同じく世間に馴染めなかった牧水が、自身を、あるいは馴染まなければ生きにくい世間を嘆いて歌った歌と一般的には言われています。「悲しい歌だね」と感想を述べた理樹はそちらの解釈をしたのでしょう。
 しかし美魚は「この歌は希望に満ちている」と言います。青にも、あをにも染まらない白鳥。それは美魚がなりたかったもの。そして理樹が周りに染まらない美魚という人そのものを認めたからこそ、生まれた存在なのかもしれません。

 

 かくして理樹の美魚サルベージ作戦は成功しました。さすが自販機で味噌カツジュースをチョイスする男。あれはなんぞ……。
 美魚に関しては「いつも日傘をさしている理由」という謎がまだ残っています。それが明らかにされる回がどうなるのか! 楽しみですね。あとEDみたいに謙吾との絡みがあったらいいなぁ。

 

 最後にどっちをサムネにしようかさんざ迷ったキャプでしめ!

 

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 このカットはたまらんゼェーッ! あと姉御、僕のこともなでなでください。

 

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