駅の階段で、前をゆく人の靴をつい見てしまいませんか? つい見てしまう……というよりは、どうしても視界に入ってしまうもの。つまり誰かの靴を見ない日はなく、逆に自分の靴も日々誰かから見られています。
「足元を見られる」という言葉もありますが、どんなにスーツがきっちりキマっていても、履いている革靴が手入れされていなければ台無しです。結婚式やお葬式といった冠婚葬祭にボロボロの革靴は当然NGですよね。
しかし靴がきちんと手入れされていればカッコいいですし、ビジネスシーンや就活でも「この人は肝心なところにも気を配れているな」と思ってもらえます。
でも革靴なんて今までまともに手入れをしたことがない……そんな方々に、マルイの某店舗でお聞きした、初心者向けの基本的な革靴をケアする方法を紹介しましょう。これでシワや汚れともさよならです!
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手入れしていても1足を履き続けるスタイルは間違い
以前アンチスーツ派だった僕はスーツや革靴にまったくお金をかけたくなくて、安い革靴1足だけをひたすら履き続けていました。しかしそれが大きな間違い。
店員さん「本革の革靴は1日履いたら2日は履かないでください。その2日の間に、吸収してしまった汗などが消えていきます。履き続けてしまうと、その時間がなくなるのです」
つまり、同じ革靴を毎日履くのはNGということ。店員さんによると、3足揃えてうまくローテーションさせるのが基本なのだとか。
平日5日分、5足あれば靴には優しいですが、経済的に難しい方もいらっしゃるでしょう。まずは3足用意してローテーションさせることを目標にしましょう。
その上で後述する革靴のケアをやっておけば、履きつぶすごとに買い換えるよりむしろ経済的になります。高い革靴もきちんとお手入れすれば、10年選手になってくれるくらい、長持ちしてくれますよ(もちろん、削れたかかとなどは補修しつつですが)。
革靴の手入れに必要なケアセット
革靴のお手入れをするためにどんな道具を揃えればいいですか? と訊いたところ、以下の3点を勧められました。
革靴のお手入れ用ブラシ

ブラシは靴についたホコリを落としたり、お手入れの最後につや出ししてピカピカにするために使います。
店員さん「ひとつ買っておけば、破損したりなくしたりしない限り、ずっと使えます。靴の修理屋さんは、この毛が半分以上すり減っても普通に使っていますよ」
1本持っておけばいいというのはありがたいですね!
革靴用の乳化性クリーム

革靴用のクリームには、色つきのものとそうでないものの2種類があります。僕は色のついていない、カラーレスのクリームを購入しました。
店員さん「色つきクリームは、革靴に傷がついた時に埋める「補色」効果があります。ただしその色の靴にしか使えません。カラーレスクリームは補色ができませんが、どんな色にも使えますね」
デリケートクリームと乳化性クリームの違い
ツヤを出したくない人には「デリケートクリーム」がおすすめ。デリケートクリームは水分が主な成分となっており、革に栄養とうるおいと与えてくれます。
乳化性クリームも同様の効果がありますが、乳化性クリームの方は艶出し効果が強く、デリケートクリームはツヤを出さないという違いがあります。
ちなみに、雨などで濡れてしまった際にも乳化性クリーム、デリケートクリームは大活躍。濡れた革が乾燥した際に抜けてしまう、水分と油分を補充してくれます。特にデリケートクリームは他の革製品にも使えるので、革製品を複数持っている方は買っておくと使い勝手が増えます。
革製品は最悪、水に濡れても構いませんが、濡れたまま放置するのはNGと覚えておきましょう。
シューキーパー

話を聞いている限り、一番大事なんじゃないかと思ったのがシューキーパーです。履いていない間に革靴に入れておき、型崩れを防ぐ役割です。どうしてもできてしまう足の甲部分のシワを伸ばして軽減するだけでなく、汗やにおいも吸い取ってくれます。シューキーパーは革靴を長持ちさせてくれる大事な存在なのです。
店員さん「ただし、しわを軽減できるのは買って間もない靴だけです。しばらく履いた靴に入れても、しわを伸ばして復活させることはできません。でも、こちらもブラシと同じくずっと使えるものですので、使いまわす靴のぶん買っておけば安心です」
毎日のケアはブラシでOK!おすすめの手入れ方法
さて、いよいよお手入れの手順です。といっても基本的なものなので、そんなに難しいことも手間のかかることもしません。「それでも、お話を聞いているとやはりやっていらっしゃらないお客様が多いですね。これだけでもやっておけばデキる男ですよ」とは店員さんの弁。
帰宅したらブラシでサッサッとほこりを払う

まずはクリームを塗る前に、ブラシで靴の表面についた汚れやほこりを払います。
シューキーパーを入れる

手を靴の中に入れるのではなく、きちんとシューキーパーを入れてお手入れします。履きジワも伸びるので、革靴全体にまんべんなく保湿クリームを伸ばすことができます。
汚れ落としに綿100%の布で磨き、クリームを塗る

適量を布にとったクリームを、見えなくなるまできちんと塗り込みます。ものにもよりますが、僕が購入したものは小指の爪程度の大きさで十分に1足ぶんになるのだとか。
店員さん「半年~1年は絶対もちます。それより早くなくなったら、使いすぎたんだと思ってください」
ちなみに汚れ落とし用の布は、シューケアセットに入っていたり、シューケアコーナーに売っています。綿100%なら良いので、スーパーなどでも買えますし、お古の下着などでも大丈夫です。
仕上げにもう一度ブラシをかける

最後に再びブラシが登場。ザッザッとかけてつやを出します。 そーっとやろうとしなくても平気です。ザッザッと。実際にやってみると、本当にツヤツヤになります。初めてやった時には「おおっ」と驚くことうけあいです。また、これを続けていくと、ブラッシングしただけでツヤが少し戻るようになりますよ。
以上です。結構かんたんですよね。基本的とはいえ、これだけのメンテナンスをすれば、デキる男カテゴリに入れます。
ちなみに、クリームを塗るのは5回履いたら1度やるくらいでいいそうです。つまり前述の3足ローテーションなら、2週間に1度くらいの割合で塗ればOK。毎日のお手入れは、帰宅→サッとブラシをかける→シューキーパーを突っ込む、だけで十分です。
まずは革靴の手入れセットとシューキーパーを購入して、一式揃えるのがおすすめ。商品にもよりますが、おおよそ5,000円ほどで道具も革靴も長く使える環境が整いますよ。
合皮の革靴の手入れ方法は?
上記は本革の革靴のメンテナンス方法ですが、素材は違えど合皮でも、ブラッシングとシューキーパーによるシワ伸ばしといった手入れ方法は変わりませんので、最低限これらはやっておきましょう。
その上で、もしツヤを出したいのであれば、乳化性クリームや油性クリームを使うことをおすすめします。
革靴だけでなく、革製品全般に通じるお手入れ方法
僕にはとても馴染みのある革製品があります。野球のグラブです。店員さんのお話を聞いていて気づいたのですが、革靴のお手入れってグラブのお手入れと同じなんです。汚れを落として、保革クリームを塗って、(グラブなら) ボールを入れたままにして型作りをする。同じ革製品なんですよね。
そう考えると「最初は面倒かもしれませんが、やっていくと習慣化して愛着も湧くようになります」との言葉もうなづけます。グラブも然り。 ただの道具から、愛用品に変わっていくのですね。
最後に! 例え汚れが過ぎてしまったり、ソールが削れてきたり、表面が傷ついたりしても、靴の修理屋さんに持っていけば買い直すよりもずっと安価に延命させてくれます。今日行った店舗も修理屋さんが併設されていて、僕のボロボロ革靴を預けてみました。表面の磨きだけお願いしたのですが、840円で見違えるようになって返ってきました。
店員さん「普段のお手入れもこういった修理も、靴の値段にかかわらず同じなんです。なので買い換えるより、お手入れの方法を知っていたり、こういったリペアを頼むという選択肢を持っていると良いと思いますよ!」
貴重な情報ありがとうございました!
こちらこそありがとうございます。
ぜひ参考になさってくださいー!
「革靴 手入れ」でググったら、このページにたどり着きました。
よい店員さんに巡り合えて、知見を得ることができてよかったですね。
僕もファッションにすっっっごく疎い+安物のスーツ&靴=ダラリーマンなのですが、
一念発起して、先日阪急メンズにて「シェットランドフォックス」の靴を買ってしまいました・・・
黒のストレートチップ。結構しました(汗
しかし手入れをどうしたもんかと思い悩んでましたが、とても参考になりました。
ファッションって極めればきりがないしコストもかかるけど、逆に何もメンテしなければすぐに傷む。
でもきちんとケアしてあげれば、靴もスーツも寿命を延ばすことができるんですね。
ハンズでケア用品一式揃えてみます。有益な情報をありがとうございました。
>匿名さん
記事を見つけていただき、またコメントまで残してくださり、ありがとうございます!
シェットランドフォックスとは、良い革靴を買われましたね!
靴に限らず、革製品はお手入れさえすれば何年も、十何年も使えます。
ヨーロッパでは世代をまたいで受け継いでいくそうです。
シェットランドフォックスの革靴も、お手入れを重ねて、長いお付き合いにしてくださいませ!