ラブライブ!サンシャイン!!

渡辺曜ってこんな子だったっけ?「恋になりたいAQUARIUM」感想

 2016年4月に発売されたAqoursの2ndシングル「恋になりたいAQUARIUM」。1stの「君の心は輝いてるかい?」も曲とPVがとても良くできていましたが、2ndも負けず劣らず、良質な楽曲とPVを引っさげてリリースされました。

 カップリング曲にもかなり恵まれ、バラエティ豊かな楽曲が揃った2ndシングル。一方でPVを見てると「『ラブライブ!サンシャイン!!』ってこーなの?」と思うこともあったのです。まだキャラクターへの造詣が深くないのですが、深くないなりに素直な考えを記していきます。

 

渡辺曜ってこんな子だったっけ

 「恋するAQUARIUM」のPVは、高海千歌が転校生の桜内梨子とじゃれあうようなシーンから始まります。1stシングルのPVでも描かれていたとおり、転校してきた梨子に対して、千歌は一気に距離を縮めています。

 渡辺曜は、そんな2人の間にガッと入り込んで3人組を作れちゃうような、そんなアクティブな女の子だと僕は思っていました。しかし彼女はそんなイメージとは裏腹に、仲良くなった2人を見て一歩引いてしまいます。

 ここが実に女の子らしいところです。「仲良しが最近他の子と仲良くしている」と思ったことのある女の子は、少なからずいるのではないでしょうか。この感覚、男性にはあまりないのですが、どうやら女性には割とあるようです。アバウトに見えていた曜は、実は年頃の女の子らしい繊細さをもっていた。1年生と3年生は3人で仲良くやっているところが描かれているだけに、2年生のこのシチュエーションはこのPVの中で際立っています。

 「恋になりたいAQUARIUM」は、恋心が芽生え始めた女の子の気持ちを歌いつつ、それを女の子しかいないAqoursのシチュエーションに落とし込んでいます。「近づきたいな I miss you」は、曜の偽らざる気持ち。恋をし始める女の子と曜の繊細な感情が描かれた楽曲です。千歌からすると、なぜ曜が急に距離を取り始めたかわかりません。そりゃあ、きぐるみを着て戻ってきた曜に涙しながら抱きつきますよね。さぞかし不安になっていたことでしょう。

 ではそれを見た梨子は、PVの最後に何を思うのか? 一瞬見せる険しい表情で考えているのは、スクールアイドルとしての自分なのか、2年生の中の自分なのか、はたまた他人のことなのか。彼女の中には、もしかするとまだ素直になれない感情が存在するのかもしれません。

 

スパイスを加える1年生、3年生

 地味にポイントとなっているのは、ヨハネこと津島善子の描かれ方。2年生が2人と1人に分裂し、1人の方が悩んでいるというのに、ヨハネは自ら「1」になっています。キャラ作りなのか、馴染む気が(今は)ないのかわかりませんが、同じ「1」でも曜とは対照的。曜が戻ってくる直前にみんなが客席に座っているシーンで、ひとり離れて我関せずというような表情をしているヨハネの存在は、とても良いアクセントになっています。

 そこを上手く溶け込ませるのは同級生かもしれませんし、あの妙に大人な3人が集まった3年生かもしれません。黒澤ダイヤ、松浦果南、小原鞠莉はとにかく大人。キリッとしていたり、さっぱりしていたり、やたらテンションが高かったりする子たちですが、全員本質を見逃していない感じがしてとても惹かれます。そこが彼女たちの強さであると同時に、では弱さは一体どこなのか? それが描かれるときが楽しみでなりません。

 さて、楽曲そのものに目を向けてみると、「恋になりたいAQUARIUM」は“イェーイ系”です。「イェーイ」12回はクドい。クドいのですが、これがAqoursの“ラブソング”なのです。

 バラードで切なげに歌うのではなく、元気に背中を押す楽曲。ネオンやイルミネーションに彩られた都会で自分の気持ちにセンチメンタルになるよりも、「ここらでデートといえば、伊豆・三津シーパラダイスに行くしかない! そこで素直に気持ちを伝えるしかない!」という、ある種の腹積もりを決めて臨むまっすぐさが感じられます。

 このフレーズとこのフレーズがつながるのかよ、の連続はまさに佐々倉節。2番サビのあとの「誘っちゃうんだ Wow wo!」で畳み掛けるパートは、とてもテンションが上がります!

 

カップリングも名曲揃い

 「恋になりたいAQUARIUM」が少々テクニカルな曲できたかと思えば、カップリングの「待ってて愛のうた」「届かない星だとしても」は王道をいく楽曲で、とてもバランスの良い1枚になっています。

 パッションとミッションで韻を踏むという「亜空大作戦スラングル」でもやっていた古来からの手法を取り入れた「待ってて愛のうた」ですが、メリハリのついたCメロでグイッと引き込んで盛り上げる山口朗彦氏の作曲は秀逸。SPEED風の曲に心奪われた人も多いのではないでしょうか。これを聴いていると、Aqoursの子たちは歌うまいなぁと思います。

 「届かない星だとしても」は、切なげなタイトルとは裏腹に軽快なロックナンバー。上のブラスをギターに替えればインディーズロックバンド風になるようが楽曲ですね。間奏の「1、2、123、1234、56」のクラップが気持ちいい。千歌のキャラソンのようにも聴こえます。

 掛け合いのあるAqoursのボイスドラマは今回が初でしょうか? もっとぶっ飛んだものが来るかと思っていましたが、ひとまずスタンダードに、でもみんなのパーソナリティがよくわかる内容でしたね。千歌はもっともっと元気かと思ったら、意外とイマドキの子らしいテンションのフラットさがあるような。そして鞠莉とダイヤのコンビの凸凹ぶりが可愛くて、どんどん好きになっていく……。

 2本目のPVは、このスクールアイドルの方向性を示す上で大切な存在。一番驚いたのは、PVと「ラブライブ!サンシャイン!!」の本筋のストーリーが強く結ばれていること。μ’sはPVがまずあって、後でそれをうまくストーリーに取り入れましたが、どうやら「サンシャイン」は逆のようです。この「恋になりたいAQUARIUM」のPVがアニメなどとどう絡むのか、3rdシングルでもこの路線は継続されるのか、注目です。

POSTED COMMENT

  1. サンシャイン より:

    アニメでも何回か曜ちゃんの繊細な部分は説明は難しいのですが、何となく繊細っぽい描写はされていた気がします。
    もっとも曜ちゃんの繊細な部分は女の子らしさとデリケート。それをヨウソローの一言で隠している気がします。繊細で意外と恥ずかしがりや
    なんでしょうね。曜ちゃん可愛いよっ☺ もっと曜ちゃんの繊細な部分を教えてね。

    • ばかいぬ より:

      >サンシャインさん
      はじめまして、コメントありがとうございます。
      アニメ前に書いた記事もお読みいただき、ありがたいです。

      アニメでは物事を楽しみながらも、一歩引いて他人や状況を見る姿が印象的ですね。
      彼女が何を思っていたのか、何を考えているのか、僕も明らかになるのが楽しみです。

  2. サンシャイン より:

    前作のµ´sの星空凛も女の子らしいように思うんです。凛は元気でボーイッシュ、容姿にも気にしている。でもそれは逆に女の子らしさを隠す為に元気に振る舞い、容姿を気にしている様に思いました。2期5話の真姫が言った{一番女の子らしいのは凛かも}と言うのも真姫達がもしかしたらそれに気付いたのかもしれません。 曜ちゃんも気配りが得意で、誰かを大好きだからと言う気持ちが強い上に、その相手からの距離を置かれてしまう反響で立ち直れなくなってしまいそうなデリケートな部分もありそうです。10話のシャイ煮始めました。でも千歌が梨子との心の距離を縮めていく部分が描写されてましたね。逆にその分幼児期から現在まで仲の良かった千歌とも心の距離が離れてしまいそうで、気にするようにも思います。 千歌ちゃんも曜ちゃんの事を理解しているはずだと思うし、だとすれば千歌ちゃんも曜と梨子の心の距離をお互いバランスよく縮めてくれる気がします。千歌も天然だけど、そういうのは得意な気はするので大丈夫だと思います。それでも難しいなら曜の繊細さは非常に難易度の高い物だと思います。 自分の部屋にも沢山の千歌の写真があってそれを凄い意味深そうな目で見てました。あれだけでも曜ちゃんが千歌ちゃんが好きで仲が良かったかが解ります。今まで仲が良かったからこそ千歌や梨子の心を読み取るのにコントロールが難しくなってしまいがちな様に感じます。なので曜ちゃんは相手の心を読むのが得意そうに見えて、実は繊細さが邪魔してそこまでは読み取れない。そんな子だと思います。

    • ばかいぬ より:

      >サンシャインさん
      今のところ描写されているシーンからは、サンシャインさんが書いてくださったようなことが想像できますね。
      千歌との写真をいっぱい飾っているのを見ても、仲の良さが伝わってきます。

      個人的には先を想像することに興味がなく、また登場人物が自分の気持ちを語らない間は
      読解しすぎないようにしようとしているので、まだ曜のことを読み取る気にはなっていません。
      どれくらいの繊細さを持っているのか、そもそも繊細なのか、僕にはまだ見えていないですね。

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