A-RISEがしゃべったー!
いえ、もちろん1期でも声は何度か聞こえていました。でもそれはあくまでアイドルとしての彼女たち。今回は綺羅ツバサ、統堂英玲奈、優木あんじゅとして僕らの前に現れました。
そしてそれは、μ’sにとっても同じでした。
降りてきたA-RISE
これまでμ’sにとってA-RISEは、指標であり目標でした。穂乃果が初めて触れたスクールアイドルは、このA-RISE。以来穂乃果たちは、初めて見たスクールアイドルであり、スクールアイドルのトップである彼女たちを基準とするようになります。「こういうのがスクールアイドルのトップである」という認識でA-RISEを見ていたわけです。何が言いたいかというと、μ’sはひとつクッションを挟んでA-RISEを見ていたと思うのです。
まずは、TVやモニタの向こう側にいる存在という認識によるクッションがひとつ。もうひとつは、比較した時に定まるμ’sの立ち位置というクッションです。
目標としている人や尊敬している人を見る時って、自分をその人より下に置いて見てしまいませんか? 卑下するとまではいかないけれど、下、あるいは後ろにポジショニングしてしまう。思い返してみると、なんとなくそんな感覚をもつ方もいらっしゃるのではないでしょうか。μ’sも同じだったんじゃないかと思うんですね(だから2期1話でA-RISEに勝たなくてはいけないとなった時に、ほとんどが落ち込んでしまいました)。
こんな風に何らかのクッションを挟んで見ていたA-RISE。μ’sにとっては、スクールアイドルとしての実力も学校の規模も段違いで、遠くでキラキラと輝いている存在だったはずです。そのA-RISEが目の前に現れ、手を引いて、自分たちの”家”であるUTX高校に招き入れた。TVの向こう側の人が、目標としていた人が眼前に現れて、自分たちを対象として行動している。そりゃあ驚きますよね。
しかもそれだけでは終わりません。A-RISEはμ’sに向かってこう言うのです。「これだけのメンバーが揃っているチームは、そうはいない。だから注目もしていたし、応援もしていた。そして何より、負けたくないと思ってる。」
A-RISEの凄み
正直なところ、ここは ”A-RISEに認められたμ’sのすごさ” ではなく、”どこまでもしたたかで一切の手も気も抜かないA-RISEの凄み” を感じました。
注目もしていたし、応援もしていたというのは確かでしょう。ただ、僕はA-RISEがμ’sに対して「お互い一生懸命がんばりましょうね!」というピュアネスはそこまでもっていないと思います。彼女たちにとってμ’sは、彼女たちが100%以上の力を出すための存在なんじゃないかと思うのです。言ってしまえば、張り合うための相手。逆に言うと、A-RISEと張り合うに値するという意味で、μ’sは認められたと言えます。
ライバルを設定することで、自分たちの力をより発揮できるようにする。そこに一切の妥協はありません。A-RISEはわかっているのです。自分たちはチャンピオンだったこと。スポーツと同じように、新しいシーズンが始まればまた横一線のスタートになること。もしかしたらA-RISEはシード? なんて想像したこともありましたが、シードなんてものこそ、彼女たちに一番似合わないものなのかもしれません。
さて、彼女たちは続けてμ’sに「その瞬間に、一番お客さんを喜ばせる存在でありたい」「私たち、負けません」と告げます。この大きな戦い、今がんばって大丈夫だろうか、本当に大切な時に疲れていたら……なんてことを、彼女らは微塵も考えません。2期の根底にある ”限りある時間の中で今を全力で駆け抜ける” というテーマに、奇しくもA-RISEも同調しているのです。そしてこのベースをもっているのは、もちろんμ’sも同じですよね。
今、確かめにいく
A-RISEの ”ホーム” に引きずり込まれたμ’sは、予想外の歓迎を受けます。ツバサや英玲奈、あんじゅの口から語られる、自分たちを褒めちぎる言葉の数々。あのA-RISEにそこまで思われているなんて考えてもいなかったμ’sは、ただ受けるばかり。そのまま ”不敗宣言” をされて終わりかと思った矢先、リーダーが立ち上がります。
「あの、A-RISEの皆さん。私たちも負けません」
相手のホームで、堂々と ”不敗宣言” を突き返す穂乃果とμ’s。やられっぱなしですごすごと帰るμ’sではありません。自分たちの思いも表明する、やり返す絶好のチャンスは、やられたまさに ”今” なのです。
A-RISEはさらにその上をいこうとします。なんとμ’sをUTX高校屋上ステージに ”ご招待”。しかし穂乃果はまったく怯みません。返事をするのも ”今”、「やります」。
2期では、とにかくμ’sが内から外へいく流れが非常に目立ちます。再度の「ラブライブ」への参加、いきなりの山中合宿。この3話でも、マイクの前に立って緊張グセを克服することは、殻を破るという意味で”内から外へ”と言えそうです。 そしてμ’s、ラブライブ予選のライブを行う場所として当初は音ノ木坂学院を計画。しかし一発勝負ゆえの真新しさの重要性を考えると、既に何度もライブを行った学院内では厳しい。結果的にμ’sは名実とも外へ出ることになります。それが最終的に、A-RISEのステージというアウェイど真ん中でやることになるなんて!
ですが、これはμ’sにとって幸いでした。前述したとおり新しい大会は横一線であること。そしてA-RISEと同じステージに立てること。注目度の話だけではありません。同じステージにいるならば、その差は自分たちの力で縮めることができます。追い越すか、あるいは先へ出るのか、自力をもってしてチャレンジすることができるのです。
その結果、勝者になるか敗者になるか、はたまた別の何かになるかは分かりません。しかし、がんばってきたからこそ、人は何者かになりたい。
なれる確証はありません。なったとして、それでいられるかも分かりません。でも分からないからこそ見に行くのです。未来が見えたら、自由に動くことなんてできない。見えないからこそ、自分の力で確かめに行ける。これを理解している穂乃果だから、他のメンバーがA-RISEのパフォーマンスを目の当たりにして打ちひしがれている時、ただひとり一歩前に進んで8人まとめて引っ張り上げることができるのです。
ましてや、相手がμ’sの2年生にアイドル性、スター性をふんだんに盛り込んだかのようなA-RISE。この構図は、最後まで僕らを熱くしてくれるでしょう。
今度は観客が来た!
忘れてはいけないのが、駆けつけたクラスメイトの存在。同じ ”3話” で誰一人いなかった観客が、この3話ではアウェイにも関わらず大勢の ”ファン・サポーター” が来てくれました。
記憶に新しい、3月23日に行われたJリーグ初の無観客試合。僕は浦和サポーターでも清水サポーターでもありませんが、今でもHDDに録画を残しています。正直に言って、とても興業の試合とは思えない雰囲気でした。ここで本気を出して闘えというのは、選手にとって非常に酷なことだったと思います。 考察本でも書きましたが、試合もライブも観客がいるからこそ「試合」になり「ライブ」になります。好きだから、できるからだけでは動かないのです。人が観てくれるからこそがんばれる。ましてや、応援してくれるのならばなおのこと!
阪神甲子園球場だろうと、埼玉スタジアム2○○2だろうと、小さなライブハウスだろうと、必ずファンやサポーターは来てくれます。画面の向こうにも応援してくれる人はもちろんいますが、プレーヤー(選手という意味でも演者という意味でも)が直に感じることができるのは、空間を共有している人たちです。その存在が、どれだけ大きな力になることか。観てもらうことを懸命に考える。愛してもらえるように全力を尽くす。プレーヤーが力を出し切るために、こんなに大切な存在はいません。
ストーリー上、あそこでクラスメイトが登場しなくても破綻はなかったと思います。それでも、数カ月前はひとりもいなかった観客がこんなに増えたのは、ここまでのμ’sの成長の証なのです。
3話のタイトルは「ユメノトビラ」です!新曲にまで侵略するツバサちゃんパない!
ライブのクオリティもですが、どこまでもストイックな姿勢のA-RISEには隙らしい隙を感じさせませんね
「その瞬間に、一番お客さんを喜ばせる存在でありたい」という言葉がA-RISEの全てであり、彼女らを頂点たらしめる理由だと自分は受け取りました。
今のμ’sはA-RISEへ強い意識が向けてはいますが、まだお客さんの方は十分に見られていないような気がしてます。2期に見られる「内から外へ」は。これらにも当てはまることはあるのでしょうか?
やべー間違えたw 真下にツバサがいたものでつい……ご指摘ありがとうございます!
仰るとおりA-RISEは、油断も隙も、慢心もなく上を目指し続けるからこそのトップなのでしょうね。
一方のμ’sに、お客さんへの意識が少ないというのもその通りだと思います。
なんとなく、μ’sのこのスタンスは変わらないんじゃないかな〜と考えています。
出待ちの子や、オープンキャンパス、学園祭ライブに来た人たちなど、今までクラスメイト以外のファンやお客さんは一応出てはいるんです。
でも「ファンのために」とは言わないんですね。あくまで自分たちが悔いのないように一生懸命がんばることが主題で、それは2期になっても「限りある時間を最後まで駆け抜ける」という形で変わらず残っています。
内から外への流れはここまでの各話で見られていますが、この根幹の部分には適用されないのでは……と予想します。
この、限りある学校生活を自分たちのために使ってやり尽くす「高校野球」のμ’sと、何年生なのか分からないけれど「お客さんを喜ばせる存在でありたい」という「プロ野球」のA-RISEが、そのまま対比され続けたらおもしろいなぁと思います。
(これで突然お客さん云々と言い出したら、「内から外へ」の流れですねってしれっと書こうかしら……w)