とうとう最終回を迎えました「ラブライブ!」。OAが始まる前も実感なくて、OA後も実感なくて……こうして感想を書くにあたって、ようやくここで一区切りしたのだなということを感じています。
なんとなく、また続きが描かれる予感もしますし、そもそも「ラブライブ!」という企画自体、これから色々な展開を見せてどんどん進んでいくのだろうと思っているからかもしれません。またそうであってほしいと、心から願います。
さぁ、最後の感想です。12話の時に、あのラストは「やりたいことを失った彼女(穂乃果)が、どうやってもう一度それを取り戻すか」を描くためだと書きました。最終話はほぼそのような内容だったと思います。穂乃果が「やりたいこと」を取り戻した展開を見ていきましょう。
にこの見せた強さ、絵里の見せた弱さ
μ’sの活動休止が決まり、それぞれが一度スクールアイドルから離れる中、にこは花陽と凛を誘って3人でスクールアイドルを続けようとします。
その理由は「好きだから」。今までどおりのメンバーじゃなくなっても、にこは好きなことをやり続けることを選びました。にこの姿は、前回μ’sが9人ではなくなることから逃げた穂乃果のそれと綺麗に対比させてあります。メンバーを失ってもやりたいことをやる強さを、にこは穂乃果の前で見せました。
それは、過去に穂乃果自身が身にまとっていた強さです。
「やりたいこと」を見つめて突っ走り、周囲を引っ張ってきた穂乃果。そうして穂乃果は9人のメンバーを集めたわけですが、ここでのにこも同じ。花陽も凛も、自らの意志とはまた別に、にこのスクールアイドルを続けたいという熱意を受けて……という面もあったと思います。
何があっても好きなことをやる強さをまず、にこが示しました。
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続いて、雪穂を送った際に穂乃果の部屋に来た絵里。彼女から漏れた「でも、隠してる。自分の弱いところを」という言葉は、穂乃果にとって意外だったかもしれません。
「希に実際恥ずかしいところを見られたこともあるのよ」とは、8話のあの号泣シーンを含めてのことだと思いますが、裏を返せば希以外にはそんなそぶりを見せたことはほとんどないということです。
つまり絵里は、穂乃果からは完璧な女性に見えていた。
そんな絵里でも「いつも迷って、困って、泣き出しそう」になる、そういう弱さをもっている。またそれを隠している。隠しているってことは、自分からは見えているってことです。絵里は自分の弱さを自覚しているのですね。自分の弱さの存在を認め、それと向き合ってもがいている、がんばっている。
にこと絵里、2人の姿は、逃げてしまった穂乃果と対照的です。対照的だからこそ、今の自分が見える。ことりがいなくなるという段階で、初めて穂乃果は過去に固執し、歩みを止めます。でも、本当の穂乃果はそれでも前に進んでいたはずなのです。
今までを肯定した絵里の言葉
「でもね、私は穂乃果に一番大切なものを教えてもらったの。変わることを恐れないで、突き進む勇気。私はあの時、あなたの手に救われた。」
人間、何かをやり切るという時に、自分の意志だけでやり切るというのはなかなか難しいものです。どこかで誰かの後押しが必要になる。誰かの後押しがあれば、それはすごい力になる。子どもの頃、お母さんに褒められたらとても嬉しくて、どんどんそれをやろうって思いました。きっとそれは、人がいくつになってももっている感情です。
μ’sを作り、活動し続けてきたこと。僕の見落としだったら非常に申し訳ないのですが、これについて途中加入したメンバーから面と向かって言及されたのは初めてのことじゃないでしょうか。
穂乃果のやってきたことは間違いじゃない。むしろ、私はそれに救われた。絵里はそう言っています。振り返ってみると、前半は穂乃果の「功績」を描いていました。スクールアイドルを始めると決めて最初に練習したダンスは、ゲームで高得点を叩き出すほど上達しました。真姫に気持ちを伝え、ランキングに初めて載りました。にこりんぱなは穂乃果がいなければ、高校でこんなに自分のやりたいことをできなかったかもしれない。だからこそ、自分たちのライブに誘ったのでしょう。
押し入れから練習着を取り出し、身につけ、穂乃果はもう一度走り出す決意を固めます。
穂乃果の告白
先ほど「過去に固執」したと悪いこととして書きましたが、人生にムダはありませんね。冷静な行動では決してありませんが、一度立ち止まったことで周りから振り返る機会を与えられ、結果、穂乃果は自分の思いを再確認します。
「やめるって言ったけど、気持ちは変わらなかった。学校のためとか、ラブライブのためとかじゃなく、私好きなの、歌うのが。それだけは譲れない。」
何かのためではなく、ただ自分の気持ち、好きという気持ちに正直に。
「だから、ごめんなさい! これからもきっと迷惑かける。夢中になって、誰かが悩んでいるのに気づかなかったり、入れ込みすぎて空回りすると思う。だって私、不器用だもん。でも、追いかけていたいの! わがままなのはわかってるけど、私……!」
自分の弱さを見つめ、できないことを認め、それを海未に打ち明ける穂乃果。私にはこんな弱さがある、でもそれをわかっている上で、こうしたいんだという決意表明です。そしてそれに呼応するかのように、海未は言います。
「ですが、穂乃果は連れて行ってくれるんです。私やことりでは、勇気がなくて行けないようなすごいところに。」
「穂乃果に振り回されるのは、もう慣れっこなんです。だからその代わりに、連れて行ってください。私たちの知らない世界へ。それが穂乃果のすごいところなんです。私もことりも、μ’sのみんなもそう思っています。」
ここで穂乃果は、自分についてきてほしいとは言っていません。真姫には素直な気持ちを伝え、にこに対しては仲間にするのではなく仲間に入ることを選んだ、穂乃果らしい決意表明です。だからこそ海未が穂乃果についていくと言ってくれたことは、穂乃果が要求した上でそう答えられたものより、ずっとずっと嬉しかったことでしょう。
一方で穂乃果は、自分から離れる人に対してはがっちり求めます。絵里に対してははっきりと「絵里先輩、μ’sに入ってください。一緒にμ’sで歌ってほしいです。スクールアイドルとして!」と伝えています。同じように、穂乃果は空港でことりに思いの丈をぶちまけます。
「ことりちゃん、ごめん。私、スクールアイドルやりたいの。ことりちゃんと一緒にやりたいの。いつか、別の夢に向かう時が来るとしても。行かないで!」
ようやく言えた言葉。言ってほしかった言葉。いつか別々の道を歩むとしても、今は同じ道を歩みたい。歩んでほしい。ああ、青春が聞こえる!
開演前にひとりずつナンバーを言う。幕が開き、穂乃果の笑顔から視線は客席へ――。ファーストライブと同じ流れですが、今、μ’sの目の前に広がっているのは満員の客席です。
「私たちのファーストライブは、この講堂でした。その時、私は思ったんです。いつか、ここを満員にしてみせるって。一生懸命がんばって、今私たちがここにいる。この思いを、いつかみんなに届けるって。その夢が今日、叶いました。だから、私たちはまた駆け出します。新しい夢に向かって!」
『START:DASH!!』の歌詞のとおり、ここに「またひとつ夢が生まれ」ました。彼女たちは夢に向かって、再び走り出したのです。困難も挫折もあるでしょう。でもきっと、彼女たちは夢を叶え、また夢を生み、走り続けるはず。それを望み、見守らずにはいられません。
さぁ、皆さんご一緒に!
μ’s、ミュージック……スタート!
ラブライブのアニメの本筋から大きく離れることを、どうかお許しください…。
激昂、平手打ち…。12話の彼女たちを見て、体を起こすことができないほどに思いっきり心が沈んでいました。
なぜにこちゃんはあんなに強い言葉を浴びせた?なぜ海未さんは平手打ちなんかした…?確かにその経緯はあるのだけど、私には…「強い言葉を浴びせた」「相手の頬をぶった」その事実だけが強烈なほどに印象に残ってしまって…。真剣であったから、そういった行動をとるのも自然かもしれない。でも…どうしても怖かった。激昂や平手打ちという刺激の強いことをするほかに、何か取れる行動があったのではないか…と。
「人間ってそういうものなんだ。相手の心を殴り、体を殴る。そんなことをするほどに、人間とはこんなにも恐ろしいものなんだ。9人で一緒に活動してきた彼女たちの中でさえこういう恐ろしいことが起こるんだ。きっとアニメの外の人々も、こんなに恐ろしい人たちなんだ」
私の抱える…トラウマです。誹謗中傷、批判、叱咤激励や指摘でさえも、それを見て以降の数日の元気を奪い去るほどに強烈な刺激として私の心を削ります。まして平手打ちを見たり、されたりしたら…本当に死にたくなるくらい。
13話を見ても…不安は完全には消えませんでした。それほどに…私にとって衝撃が大きすぎたのです。
ラブライブ、というと12話のシーンが思い出されて…ラブライブからさえ離れたくなるほどに。
でも…あなたの文を見て、これまでの気持ちを整理することができた気がします。
あなたのおかげで…恐怖に向き合うことができた気がするのです。
不安や恐怖を抱え、責任だって放り投げて逃げ出したくなるくらい弱い自分…。
誰かの力を借りなければ立ち上がることすらできないくらい弱い自分。
でも…わがままかもしれないけれど、誰かの力を借りて、立ち上がって、前に。
本当はラブライブ好きだし、人と話すことも好き。
自分の本当の気もち、思いを大事に…。
私事な話で、またまとまりもつかず申し訳ありませんでした…。でも、この思いは伝えたかったのです。
あなたの文で、私の心が救われた気がします。
感謝しています…ありがとうございます。
Mitoriさん、はじめまして! ばかいぬと言います。
思いのこもったコメント、本当にありがとうございます。
人にトラウマを打ち明けるというのは、かなり勇気のいることだと思います。
そうしてでも、Mitoriさんが思いをお伝えしてくださったこと、
ほんとにほんとに嬉しく、そしてありがたく思います。
文章を書いていて、「心が救われた」と言っていただけるなんて思いもよらないことでした。
そのお言葉に、僕もまた救われた思いです。
どうかMitoriさんが、色々なお気持ちとうまくお付き合いをしながら、「ラブライブ!」を好きでいられますように。
そのために僕の言葉がお役に立てるなら、いくらでも尽くします。
メールの方にも、後日返信させていただきますね。
僕もことり推しなので12話はことりの叫びや穂之果の罪悪感が心に迫ってきて本当に恐ろしかったです。