11月10日に2015年の新語・流行語大賞ノミネート語が公開されました。なんだかチクチクする言葉も多く、今年はあまり見ていても楽しくならないなぁというのが正直なところです。

 その中で僕の目を引いたのは「刀剣女子」「ラブライバー」の2つの言葉でした。

 言わずもがな、「刀剣女子」はブラウザゲーム「刀剣乱舞」にハマる女性たちのこと。そして「ラブライバー」はTVアニメを始めとしたメディアミックス展開を繰り広げるコンテンツ「ラブライブ!」のファンのことです。

 どちらも、いわゆる“オタクコンテンツ”の内部にある言葉です。だからこそ、新語・流行語大賞という、オタクではない人々も注目する舞台に引き上げられて、僕は少々困惑してしまいました。

 しかし僕は今「引き上げられた」と書きましたが、きちんと考えるとこれは「刀剣乱舞」「ラブライブ!」が殻を破って表舞台に出ていったとも言えるのです。

 

突き抜けていったコンテンツ

 「刀剣乱舞」に熱中した刀剣女子たちは、ゲームやグッズなどの展開を追うに留まらず、本物の刀剣を観に博物館や三条小鍛冶宗近のような鍛冶へと足を運びます。これによって刀剣の展示などはここしばらくなかったほどの賑わいを見せ、メディアにも取り上げられました。

 「ラブライブ!」は2013年からTVアニメの放送がされていましたが、今年とうとう映画化されました。映画館という場所は、アニメも実写フィルムも等しくスクリーンで上映される場所です。ここで映画版「ラブライブ!」は記録的な興行収入をマークし、一般紙をも賑わせました。

 また「ラブライブ!」については、その物語の内容や「やりたいこと」に向かって葛藤しながらも進み続けるキャラクターたちが、キャラクターと同じ年代である中高生の希望や活力になっていたことは見逃せません。これはNHK「Rの法則」や、文化放送「レコメン!」に寄せられるメールを見るとよくわかります。

 これらを見ていくと、やはり「刀剣乱舞」「ラブライブ!」には、人をオタクコンテンツの外に突き動かすパワーがあったのではないかと思うのです。人を動かす大きな力を持っているがゆえに、(敢えて区別しますが)オタクコンテンツから一般社会へと飛び出していった。その結果として今回ノミネートされたのならば、ポジティブに考えたいなと思い直した次第です。

 大事なのは、ノミネートされたのが「刀剣乱舞」ではなく「刀剣女子」、「ラブライブ!ではなく「ラブライバー」であるということ。文化をつなぐのは、やはり「人」なのですね。