真姫ちゃん回はいつにも増してニヤニヤしながら観てしまいますね。
今までこういう「がんばってるけど素直になれない」キャラって恋愛物に多くて、恋愛物に多いということは必然的に主人公(=自分)との関係性で当事者的に楽しむことが多かったのですが、「ラブライブ!」に関しては第三者的です。
移入する男性キャラが皆無だからそうなるのですが、その上で観るとこんなに微笑ましいのだなぁとニヤニヤ、もとい、ニッコリしてしまいますね。
さて、今回は先輩呼びをやめさせた理由、そして西木野真姫という女の子について書きます。
名前で呼ぶ意味
正直に言うと、野球部出身ということもあってか、先輩禁止を経験的に理解することは非常に難しいです。弱小高校でしたが、それでも上下関係はきっちりしていましたから……。
ただ、ちょうど真逆をいくケースを知っていて、それは妹の学校です。彼女の学校はかなりフランクで、先輩どころか先生もちゃん付けで呼んじゃうくらい。僕の学校では先生にあだ名は付けても実際にそう呼ぶなんてこともなかったので、母や妹自身からそんな話を聞くたびにすげーなーと思っていました。
で、ある年に文化祭に行ったんですね。いざその空気の中に身を置いてみると、彼女らは先輩、後輩、先生、どの距離も近いのです。「この先生は普段マジメ」と聞いていた先生が、生徒と一緒にステージでビックリしちゃうような仮装をして踊っている。
文化祭という空気がそうさせるというのもあるでしょうが、それにしても!
彼女たちは「人間同士」でステージを作り上げてきたように、あの時感じました。
絵里がしたいのも、似たようなことだと思うんですね。「踊っている時にそういうこと気にしちゃダメだから」と説明はしていましたが、それと同時に、「ひとりの人」同士という感覚を植えつけたかったんじゃないでしょうか。
名前で呼ぶってそういうことだと思います。ベースが下の名前でも、最後に「先輩」がつくと、呼ぶ方も呼んだ方もやっぱり「先輩」の意識になる。でも名前だけにすると、近しくなる気がしませんか? すごく感覚的な面なので言葉にするのは難しいのですが、ずっと「先輩」と呼んできた身としては、逆に考えるとちょっと分かる気がします。
肩書きを気にせず、みんなが対等なラインに立つことで、より強くひとつになることができる。名前で呼び、個を認識することで、自分自身と相手自身を近づける。この新しい距離感を全員が身につけるには、この合宿がうってつけだったわけです。
西木野真姫という人
西木野真姫。歌とピアノが得意なμ’sの作曲担当。その腕は花陽に歌唱指導を行い弱点を克服させるほど、とは某日のカラオケ店で明らかになったとおりである。こう見えて世話焼きなタイプで、他人のことはほっとけない。昼休みにひとりでこっそり練習する努力家でもある。
同時に、見栄っ張りな部分もあるんだと思います。ひとりでこっそり練習するということは、昼休みにまで練習しているという姿は見られたくないわけで。見せてもいい自分と、そうじゃない自分がいる。
その上、「見せない自分」の方が圧倒的に大きいのです。希に「真姫ちゃんは(寝る場所)どうする?」と聞かれ「どこでもいいわ」と答えています。人のことは放っておけず、「やりたいならやればいいじゃない」と背中を押すのに、自分のことになると途端に押し殺してしまう。出さないのですね。
4話で家を訪れた花陽に、真姫はこう言います。「私ね、大学は医学部って決まってるの」「だから、私の音楽はもう終わってるってわけ」。自分のやりたいことは既にない。故に、自分を主張しない。親の期待や未来設計の上に生きてきた真姫は、自分を出す生き方をしてきていないのです。だから、出し方がわからない。
そこが「本当にそっくりやな」というわけですね。自分の思いに素直になれず、誰かの期待に応える生き方をしてしまう。どこぞの生徒会長さんがそうだったように。
同じく4話のラストで「名前で呼んでよ。花陽、凛」と真姫は超赤面しながらお願いをします。名前で呼ぶことの距離感を、彼女はわかっているわけです。他のメンバーをうまく名前で呼べなかったのは、自分自身を出せない、全員との間でその距離感に自分を置けないからです。
希と真姫の、μ’sへの思い
そんな真姫に対して、希はあの手この手を繰り出します。買い出しに付き合ったり、無理やり枕投げの輪に入れたり。この構いっぷりというか見守りっぷりというか、希には母性を感じずにはいられません。
「ウチな、μ’sのメンバーのことが大好きなん。ウチはμ’sの誰にも欠けてほしくないの」と、希は朝の浜辺で真姫に言います。μ’sへ特別な思いをもつ彼女にとって、μ’sという輪に加わっているけど、一歩外にいるような真姫は見過ごせなかったのでしょう。同じように今まで自分を殺してきた友人がすぐそばにいたのだから、なおさらです。だから、真姫の本当の自分を引っ張り出そうとした。
μ’sのことが本当に大事だという思いを打ち明けた希。それは真姫も同じです。だって、自分の音楽を大好きと、自分の音楽を必要と言ってくれた存在なのですから。6話で「まったく、これじゃあμ’sがどんどん誤解されるわ」と言っていたのを思い出します。それだけ、大切。
μ’sのことを影で支えてきた者同士です。「ちょっと話しすぎちゃったかも。みんなには秘密ね」と言った希に、あの時真姫はシンパシーを感じたんだと思います。だからこそ、自分にかけられたのと同じ「めんどくさい人ね、希」という言葉を返せたのです。
最後の絵里に対しての「ありがとう」。もしかしたら絵里プロデュースの、全員を巻き込んだ「真姫ちゃんをもう一歩仲間に入れよう大作戦」という意図での「先輩禁止!」だったのかな。だとしたら、こんなふうに絵里が真姫にちょっかいを出すのもわかりますね!
エリちかわいい! かわいいよ!
4話の時もそうでしたが、ちょっと言い合いしたり、怒らせたり?すると、ちゃんと自分を出せるんですよね、真姫ちゃん。希はそれを狙っていたのかもしれませんね。
その他いろいろ!
あとは感じたことを色々。
夏色やワンダラのセルフパロディがいっぱい出てきて楽しかったですね! ことりちゃんがちゃんとマイ枕を持参していたのがすばらしかった。しかもあれで投げつけられた枕を穂乃果に受け流すあたり、あの女やりおるでぇ……!
ことりちゃんといえば、前回の引きだったエアメールの伏線は今回では回収されませんでしたね。とするとラスト辺りでもってくるのでしょうか……?
次回はまたライブ回! 雨の中でステージに立つというシチュエーションだけで、逆境に立ち向かう感があってすっごいカッコいい。衣装もカッコいいですね! あのカラーリング好きです。新曲流れるかなぁ、ドキドキしちゃいますね。
あとこれ。
このエリーの脚だけで僕らは何度でも立ち上がれる気がします