8月上旬にひとつカバンを買いました。すでに持っていたものはニット地のものやリュック型のもので、夏に使える大きめのカバンが欲しかったのです。
買ったのは「森野帆布」というブランドのカバンで、船の帆布と同じ素材を使った、大きく丈夫で雨にも強い、大変使い勝手のいいカバンです。
実は、このカバンを買うときにかなり悩んだのです。色や形のバリエーションが多い中で、僕は白を基調としたトート型に決めていました。ところが、いざお店に行ってみると、カバンに入っているラインの色がネイビーとグレーの2種類があったのです。
僕は、お店の中で腕を組みながら悩み始めました。
ネイビーに惹かれるも何か違う
森野帆布あったけど、白地にネイビーにするかグレーにするかでめっちゃ悩む。決めてまた後で行こう……うーんどっちがいいかなぁ〜〜
— ばかいぬ◡̈ (@bakainu) August 9, 2014
グレーが馴染んでいいなぁと思うんだけど、ネイビーも捨てがたい……「ネイビーが好き」っていう嗜好に縛られている気もする。
— ばかいぬ◡̈ (@bakainu) August 9, 2014
実物見る前はネイビー一択と思ってたんだけど、グレーが思ったより良くてな……。あと探してる途中で寄ったアパレルでグレー推されて、それと合わせるのもいいなーなんて。
— ばかいぬ◡̈ (@bakainu) August 9, 2014
当時のTweetを見てみても、随分と悩んでいるのが伺えます。実際、鏡を前に何度もそれぞれの色のカバンを持ち替えたり、男性の店員さんに持ってもらったりしました。
やはりネイビーに惹かれます。その日、着ていたシャツもネイビーでしたし、好きな色です。じゃあすんなりネイビーに決まるかと思いきや、そうはいきませんでした。
ネイビーラインのカバンは、モノそのものを見ると確かに存在感はある。でもいざ手に取ってみると、何か、何か違うのです。むしろグレーのほうが、馴染んでしっくりときていました。
ネイビーを捨てられない理由
ではグレーにすればいいのではというと、またそういうわけにもいかず。ネイビーを選択肢から消すことができない理由はこんな感じでした。
- 好きな色
- モノ単体に存在感がある
- ファンである横浜F・マリノスのカラー
- しかも森野帆布のロゴには軍艦のシルエットやイカリのイラストが施してあり、ことさら「マリン」テイストである
- 大好きな「ラブライブ!」の登場人物、園田海未のパーソナルカラー(厳密にはやや違うが)
- しかもその日は園田海未役の三森すずこさんに会いに行く日だった
- 「イベントの日だったし、海未にちなんでネイビーにしました」とネタにできる
と、7つも理由があったわけです。そりゃあ迷うってもんでしょう!
そして、散々迷ってどうしたかといいますと、
そだ、昨日のバッグは結局グレーを買ったよ。ご意見くださった方、ありがとうございました! pic.twitter.com/a7JQo2zUcD
— ばかいぬ◡̈ (@bakainu) August 10, 2014
グレーにしました。7つもネイビーを選ぶ理由があったのに! じゃあ、グレーにした理由は?
ネイビーに惹かれる理由に潜む“外的要因”
もう一度、先に挙げたネイビーを捨てられない理由を見てみます。この中で、自分の気持ちから直接出てきたものはどれか。1だけなんですよね。
確かにマリノスも「ラブライブ!」も“好き”です。でも、マリノスや「ラブライブ!」が好きであることは、間接的な理由にしかならない。イベントの日であること、イベントにちなんで色を選んだのをネタにすること、これらの“賞味期限”は長くて1日です。カバンはずっと使います。
しかも、そんなことでわざわざ好きアピールする必要はまったくもってない。消費だけで愛情をアピールするのは、簡単にできるぶん、とても安易です。
つまり、7つ並べた理由のほとんどが、自分の外側にある理由なんです。自分が手に持つもの、身につけるものを外的要因で選ぶと必ず失敗するーー満足できないまま使い続けることになるーーのは、経験上よく知っています。
ではグレーは?
グレーを選んだ理由は「しっくりくる」です。しっくりくるということは、気に入っているということ。要するに好きなんです。自分が感じた感覚、つまり内的要因が理由になっています。否定しようとしても、しにくい理由ですよね。
だからこそ強い。それで充分なんです。
購入してから4ヶ月、何度も使っていますが、手に持つたびに気分が高揚します。グレーを選んでよかったと心底思います。
こういう「しっくりくる」みたいな内的要因は曖昧かつシンプルなぶん、きちんと見つめて大事にするのは難しいものです。外的要因のほうが、論理的であるゆえに目立ちます。しかしそのぶん、ノイズになりやすい。
このノイズがある中でいかに内的要因と向き合うかが、何かを選ぶ上で大事なことなのかもしれませんね。