第10話では、「スクールアイドル好きのみんなが楽しめるお祭り」スクールアイドルフェスティバル開催を目指して前進する高咲侑と、スクールアイドルとしてやりたいことが見つからずに停滞してしまう上原歩夢という構図が描かれていました。
歩夢については、おそらく“解決編”となる第12話の記事でまとめて触れようと思いますので、今回は侑の方にスポットを当てていきましょう。高咲侑という、スクールアイドルではないただのスクールアイドル好きが何を作ろうとしていて、何ができるのか紐解いていきます。
スクールアイドル好きの願いが詰まった「ハコ」
スクールアイドルフェスティバル開催に欠かせない、スクールアイドルという存在。それは虹ヶ咲学園のスクールアイドルに留まりません。藤黄学園、東雲学院のスクールアイドルに参加を呼びかけ、賛同を得た侑の瞳は輝きを増していきます。当のスクールアイドルにこの企画を気に入ってもらえたことは発起人として純粋にうれしいと思いますし、このとき自分の夢が形になっていく感覚を掴んだのではないでしょうか。
一方で、なかなか決めることができないのが会場です。ただ、これには物語上で重要な意味があったと考えています。
このブログでは、スクールアイドルとは場所である、という話をずっとしてきました。スクールアイドルは自分の「やりたい」を表現する場所であり、ゆえにいろんな人が集まってくる。バラバラな個性もまとめて受け入れてくれる、お味噌汁みたいな場所がスクールアイドルです。
つまり、「やりたい」がどこでできるのかがこの物語において重要なんですね。それが第11話では、スクールアイドルが「やりたい」ライブができる場所はどこなのかという問いになっている。ライブ会場のことを「ハコ」と言いますが、彼女たちは自分たちの「やりたい」を入れるハコ選びに悩んでいます。
きっと侑は全員の「やりたい」を叶えたいのでしょう。それが「スクールアイドル好きみんなが楽しめる」ための条件だから。
そんなときに出てきたのが「かすみんBOX」です。夏休み中というのも相まって中身はかすかす……じゃない、スッカスカでしたが、宮下愛のチューンナップにより「みんなが見てみたいフェス」が募集されることに。そう、「みんなが見てみたい」もまた、スクールアイドル好きな人の「やりたい」なんですよね。
スクールアイドル側が働きかけて、スクールアイドルじゃないスクールアイドル好きが応える。天王寺璃奈が作るWebサイトも同じです。璃奈はリアルでも焼菓子同好会というスクールアイドル好きから、自分たちを模したクッキーという“お返し”を受けました。それがまた「絶対開催できるようにがんばるから」というスクールアイドルのパワーにつながる。スクールアイドルとスクールアイドル好き同士の掛け合いで、ライブが作り上げられていくのです。
実は、この構図は物語の最初から描かれているものです。高咲侑というスクールアイドル好きが、スクールアイドルに働きかけることでスクールアイドル同好会という場所ができました。今度はスクールアイドルからスクールアイドル好きに働きかけて、両者の掛け合いによってスクールアイドルフェスティバルという場所ができていく。
橋というのは袂(たもと)と袂が結ばれてできるものですが、まさに“虹の架け橋”がかかったと表現しても良いでしょう。その中心にいるのが、スクールアイドル集団に属するスクールアイドルではないただのスクールアイドル好き、高咲侑なのです。
余談ですが、侑がピアノを始めたのも、スクールアイドルもスクールアイドル好きも全部ひっくるめて包み込むような意味合いもあるのかなと思います。スクールアイドルにもスクールアイドル好きにとっても、音楽ってつきものですよね。だから彼女は歌うんじゃなくて、音楽を奏でようとする。彼ら、彼女らの「やりたい」を表現する代表的な手法のひとつが音楽であり、「やりたい」を叶える手法を侑は身につけようとしているのです。
……と考えると、EDアニメーションで侑が黒い傘を持っているのも納得がいきます。色って全部混ぜると黒になるんですよね。
スクールアイドル好きにとってのスクールアイドルフェスティバル
「みんなバラバラだね」とは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会内で侑が最近よく言う言葉ですが、「みんなバラバラ」なのはスクールアイドル好きの方も同じです。近江彼方にやる気をもらった人もいれば、エマ・ヴェルデに癒やしを与えられた人もいる。
スクールアイドルフェスティバルがスクールアイドル好きみんなが楽しめるお祭りになるためには、スクールアイドルだけでなく、スクールアイドル好きの希望も叶える必要があります。つまり、スクールアイドル好きにもコミットしてもらい、みんなが輝く場所を作るということです。
となると、特定の一箇所で開催するという選択肢はなくなるんですね。侑、そして虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が目指すのは、バラバラな希望を持つスクールアイドル全員が輝ける舞台を用意し、そこにスクールアイドル好きの人たちもコミットしてもらい、ステージに立たない彼ら・彼女らも輝き、楽しめる場所とすること。スクールアイドルだけでなくスクールアイドル好きも、「スクールアイドル」を通じて自分の「やりたい」を表現できる場所作りです。
スクールアイドルとお客さんではなく、全員が参加者。「みんなの夢が集まって、それを全部叶える場所」が、スクールアイドルという場所なのだと侑は言っている。そして、自身もスクールアイドルを通じてひとつの夢を叶えようとしています。
そんな侑にだけできること。それを表現しているのが、あの可愛らしい生徒会副会長の存在です。
スクールアイドルフェスティバルは、スクールアイドルとスクールアイドル好きの“内輪ウケ”に留まりません。生徒会副会長はその象徴的な人物です。
侑が優木せつ菜のパフォーマンスでスクールアイドルを知り、情熱を得たように、生徒会副会長も侑のプレゼンによってスクールアイドルへの情熱を植え付けられた。スクールアイドル好きでない人がスクールアイドルを知ることで、スクールアイドルの輪が広がっていく。その瞬間を、私たちは目の当たりにしたといってもいいでしょう。
これが侑のできること。振り返ってみれば、ナイトプールでスクールアイドル同好会のみんなを熱くさせたのも侑の言葉でした。彼女のプレゼンは、歌わない侑が歌う「CHASE!」なのですね。
何度か「歩夢が素直に思いを告げて、抱きつけるようになれば」と書き込みましたが、ほらやっぱりその通りに…。違うw そうじゃないwww
同時に映る幼少期の写真と基本的に同じ姿勢なのに、想いが違う。
写真の中で侑が着る「ぱ」のシャツ。フランス語の「pas=歩む」なのではないか?と言う考察があちこちでなされていました。「オタさん達、凄いわ」と思いながら確認しようと調べてみると、フランス語の否定文は「ne 動詞 pas」と表記するのだと知りました。
元々の否定形はne(=not)だけで、pasをつけることによって「一歩も~ない」と言う強調表現になっていた。しかし、時代が下るに従ってpas付きが普通の表記になって行ったとの話。
・侑がパのシャツを身に着けている → 侑は常に “歩夢と一緒” と思っている
・シャツの “黒” → ネガティブな印象 → 否定 → ne
・黒のパ → ne ~ pas → 一歩も進めない歩夢の心情
→ それが強調でなく定常になってしまっている今の歩夢
と解釈を試みるのは、流石にオタクを拗らせすぎ(汗。
1行目に笑いましたw でも12話で見事に予想的中しましたね! すごいですw
「ぱ」って何? と思いきや、そんな考察があったんですね〜。
侑のメッセージが来た6時37分も「637=Always and forever」って意味があるみたいですし、
書いてくださった内容もわりかしあり得るのかなと思います。
逆になぜフランス語? というのがむしろ気になりますw
インドネシア語じゃいけなかったのかな……?