映画の感想

「神々との闘い編」に示されたひとつの回答とは?映画「009 RE:CYBORG」感想

フランソワーズさんセクシーすぎィ!

映画「009」を観てきました。フランソワーズさんについては色々と噂を耳にしていたので期待して行ったのですが、もう「ありがとうございます」という感じで。ただ「エロい」とは違う気がしました。あくまで「セクシー」ですね。

フランスの下着は、日本のように「体型をカバーする」とか「アウターに影響しない」「胸を大きく」などではなく、「女性は下着姿になったときが一番美しい」ということを考えて作られているそうです。

それを当てはめるとするならば、別室にジェロニモがいたにもかかわらず、肌をさらけ出してジョーと重なろうとする彼女がとても綺麗だったのはさもありなん。よもや条件反射的にあれを「ビッチ」と言い表す人もいるようですが、フランソワーズが3年に一度のジョーとの逢瀬でようやく曝け出すことのできた、「素肌の恋心」です。それはビッチというものではないでしょう。

ビジュアル面でも、初登場時の白スーツでヒップのラインがちゃんと描かれていたり、作品の大半の時間で着用していた赤いワンピースも、胸元のあれ、デザインかと思ったらメッシュ状だったり、女としての美を忘れないフランス人らしい描かれ方をされているなと思いました。

以下、多少ネタバレありです。

もっと難解かと思っていましたが、全体的なストーリーは思った以上にわかりやすかったです。世界で連続する自爆テロ、それを止めるべく招集されたゼロゼロナンバー。自爆テロ犯の動機で語られる「彼(=神)の声」。テロ犯は神の声に従って「人類をやり直す」と行動するわけですが、その神と対峙してサイボーグたちは勝てるのか、そもそも「彼の声」とはなんなのか。これらを通じて描くことで、石ノ森章太郎氏の死によって未完となった「神々との闘い編」に、現代ならではのひとつの答えを示しています。

「彼の声」とは、神に近づいた者の内からあげられた声であること。脳そのものが神であり、生殖活動のために選ばれたのが人類であること。これらは作中でひとつの仮説として語られるのですが、非常に面白い概念です。狩りをして他の生き物を糧としてきた人類が、他の生き物の死を通じて自らの死を自覚する。死は恐怖であると同時に、自然そのものです。避けることはできない。自然そのものから身を守るために作られたのが宗教であるなら、神という存在もまた然り。

自らが創り出した存在であるゆえに、人にとって「神」は抗いがたい存在です。しかし、人類が間違った道へ進んでいる今、人類をやり直すべきだという「彼の声」に従う者に対し、いや神そのものに対し、彼らと同じく「彼の声」を聞いたジョーは、人間はそのような脆弱であるだけの存在ではない、もっと違う方法があるはずだと訴えます。これが、2012年までの時を超えて出された「神々との闘い編」の、ひとつの結論でしょう。神山監督が「これが『009』というタイトルが作り続けられるきっかけになってくれれば」と仰っていましたが、まさに「終わらなければ、始まらない」というキャッチコピーそのものです。

ラストに物理現象として救われたジョーとジェットを描かなかった分、観客一人ひとりが自分の中の「彼の声」と向き合う気持ちにさせられたのではないかなと思います。多少わかりにくいかもしれませんが、スペクタクルに終わるより、僕はこちらの方が好きです。

ジョーが身を挺して人類を救おうとしたり、そのジョーを仲違いしていたジェットが最後に助けに来たり、わかりやすい見せ場もきっちり作っていて、変にこねくり回したりしないストーリーに好感を覚えました。きっと、もう一度観たらまた違う「声」が聞こえるのでしょうね。

また、今作はキャラクターをも3DCGで描かれた作品です。ただそれだけではなく、3DCGながらセルと変わらないほど違和感ない仕草が観られます。正直驚きました。円盤を待つのもよいですが、これはぜひ劇場の大きなスクリーンで3Dを体験してほしいと思います。恐らく数年後にアニメ制作のスタンダードのひとつになる、その一歩です。

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