アンコールでめちゃくちゃ鳥肌が立ちました。ベルーナドームを埋め尽くす9色の光。アリーナはオレンジ、スタンドでは他の色が綺麗な積層となって、Aqoursを呼んでいるのです。集大成にふさわしい、美しい光景でした。
Aqours、10年の重み
10年ですか。10年スクールアイドルであり続ける。私たち一般人にはちょっと想像つかないですよね。
今日は、何か思いが感じられるだろうかと思って、最初はみんなの顔つきに注目していたんです。一番実感したのは、余裕でした。多分なのですが、緊張したメンバーはいなかったんじゃないかなぁ。初っ端から力みもなく、堂々とした佇まい。自己紹介にしたって手慣れたもので、盛り上げ上手。笑いも取る。でもなんか、自信ともちょっと違うんですよね。フィナーレ2日目とは思えないくらいの、良い力の抜き具合が感じられました。
そんな余裕があるからこそ、なのでしょうか。パフォーマンスがとにかくすごい。Aqoursはパフォーマンスで圧倒できるスクールアイドルです。アニメの世界ではなかなか類を見ないキレの良さに、ますます磨きがかかっていたように思います。しかも9人全員そうだし、かつそれが何曲も続く。
ゆっくりと手を下ろす振り付けでも、下ろすスピードすら9人で合っている。ここまで息が合うまで、どれだけの鍛錬があったのでしょうか。長年培ってきた技術と経験は伊達じゃありません。会場では虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会やLiella!のグッズを身につけた方もお見かけしましたが、そんな後輩スクールアイドルファンや、Aqoursを初めて見た方も驚いたのではないでしょうか。これこそ10年の重み、ですよね。
そして、虹ヶ咲やLiella!、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブから入ったファンがこのライブに来られたのも、私のようにAqoursとの接点こそあれ、現場が久しぶりという人が楽しめたのも、彼女たちが10年続けてくれたからこそ。人生の3分の1、スクールアイドルであり続けてくれたことに、感謝は尽きません。
μ’sの後を引き継いだ唯一のスクールアイドル
振り返ってみれば1stライブからえらくチャレンジングなことをしてきたスクールアイドルでした。逢田梨香子さんのピアノの一幕は、忘れることはできないなぁ。バク宙したスクールアイドルも、未だに伊波杏樹さんだけですよね?(そうポンポンと出てくるわけないのですが……笑)
そして何より彼女たちは、「μ’sからバトンを受けた唯一のスクールアイドル」です。アニメファンの垣根を超えて愛された、パイオニアにしてレジェンド。その後釜という立場だけでも十分にチャレンジングだし、それが結果的に彼女たちを少なからず苛んだことも、今日の伊波さんの挨拶から伺えます。
ただ、そんなある種の逆境を跳ね返してきたからこそ、Aqoursば今のAqoursらしさ、すなわち無尽蔵とも感じてしまう力強さが養われていったのではないでしょうか。
こうしてAqoursが「ラブライブ!」を続けてくれたからこそ言えるのは、やっぱりAqoursのステージは、μ’sはもちろん、後に続く虹ヶ咲やLiella!、蓮ノ空ともまた違う色を持っているということ。何年もスクールアイドルの第一線で活躍するのは本当に大変だったと思うけれど、だからこそ、後に続くスクールアイドルが生まれ、Aqoursも含めそれぞれのスクールアイドルの色が際立っていきます。同じ時期に3つも4つもスクールアイドルが現役でいるってすごいことだし、それが実現するのはみんなが続けてくれているからなんですよね。
μ’sがスクールアイドルの道を切り拓いたのならば、Aqoursはスクールアイドルの道を広げていく礎となった。それは、後を継いだ者たちにしかできないことだったのだと思うのです。
9年前だから書けたことがある
嬉しかったのは、やたら作画の良い新作アニメーションが見られたこと。やっぱり、3年生はええな……! と思いながら見ていました。一番見たかった「HAPPY PARTY TRAIN」も披露してくれてとっても嬉しい。そういやPVだけで1本記事書いたなぁ……と、しみじみ思い出しながら見ていました。
幕間ではメンバーごとにまとめられたTVアニメのダイジェスト版も流れましたが、TVアニメももう9年も前になるんですね。毎週あれこれ考えながら1期と2期の感想記事をこのブログに投稿してきましたが、当時めっちゃ色々考えたセリフの意味も、今日聞いたら「ああ、こういうことだろうな」とスッと入ってきたものもあって、そんなところで自分の中の積み重ねを感じたり。
今、改めて書いたら当時と全く違う内容になる記事もあるでしょうね。でもそれは、あの時だからこそ書けた記事だということ。なんだか思いもよらないところで、自分の中での時の流れや積み重ねを感じさせてもらいました。きっと皆さんも、(おそらく)久しぶりにAqoursのTVアニメを見て、何か感じられたことがあったのではないでしょうか。
空も海もつながっている
人やキャラクターのパーソナリティがにじみ出る瞬間が好きで、メンバーたちの最後の挨拶に注目していました。あの場で10年を言葉で表現するのは難しいけれど、それぞれ自分なりに、九人九色の言葉で話してくれましたね。
感謝の言葉が尽きなかった小林愛香さん、青春を取り戻していたことと仲間への感謝をを涙ながらに述べた鈴木愛奈さん、パキッとサッパリまとめた降幡愛さん(最後のボードに書いたメッセージもシンプルでめっちゃ良かった)、小宮ワールド全開だった小宮有紗さん、難しい心境をできうる限り言葉にした高槻かなこさん、フィナーレの実感のなさを素直に表現した諏訪ななかさん、挨拶まで渡辺曜であり続けようとした斉藤朱夏さん、酸いも甘いもポップに振り返った伊波杏樹さん(この方の表現力と演出力はちょっと群を抜いてますね。どこまでも見えている感)。
中でもグッときたのは逢田梨香子さんの言葉でした。今の素直な心情、「ラブライブ!」への愛、誰も彼もの幸せを願う気持ち。10年間の思い出と優しさに満ちた挨拶だったように思います。最後の最後にああいう言葉を聞くことができて、なんだか嬉しかったです。
私にとって、人生を物書きのそれに変えたのがμ’sなら、変わった人生を広げてくれたのがAqoursでした。今日、そのフィナーレを見届けることができて本当に良かった。きっとまたどこかでAqoursに会うことができるはず。松浦果南が歌っていたように、空も海も、つながっているのですから。