ちょっと日にちが空いてしまいましたが、オランダとの順位決定戦レビューです。いやー勝ってよかった。桑田さんは「あまり関係ないのでは」とおっしゃっていましたが、やっぱり準決勝を18日にやるのと19日にやるのでは違います。
準決勝を勝ち進むとして、決勝の相手となる国の野球を、頭を切り替えて観られるのは18日のチームです。これは大きい。連戦だと勢いは持続するかもしれませんが、切り替えたり、対策をすんなり頭に入れたりできるかというと疑問。イケイケドンドンで勝つチームならともかく、今大会の日本はそうじゃないと思います。
それに、勝って気分よく飛行機に乗りたいですしね!
……という意味では、決して気分よく終わった試合ではありませんでした。キューバを破ってここまで勝ち上がってくるだけあって、やはりオランダは力があります。大量リードがフイになってしまうのではと思わせる展開でしたが、そこにはオランダの右打者を攻め切れない日本の左投手がありました。
使えなかったインコース
左投手と書きましたが、もちろん先発の大隣は別です。きっちり内角をついてから、外へのチェンジアップ。セオリー通りの配球に、オランダの打者のバットはクルクル回りました。セオリーは大多数に通じるからセオリーなのだなと再確認……そして、セオリーのピッチングをきちんとやり切る大隣の能力ですよね。
大隣が3回を投げたあとは、澤村、マー君、今村が1回ずつ無失点。ここらへんは安心して観ていられました。特に今村は前回の登板と比べて全然違いましたね! 力の抜けたフォームからキレキレのストレートが低めに集まっていて、これはなかなか打てんぞと思わせるピッチングでした。
問題は7回の森福、8回の山口です。ここまで安定していた2人があっさり崩れるのは意外でした。原因は明確で、右打者のインコースを攻められなかったことにあります。
オランダの打線は途中出場したキャッチャーのデクーバ以外全員右。全員がパワフルなスイングで、確かにコワイ。しかし横の揺さぶりで勝負する森福や山口がインコースを攻められないのでは、真ん中から外を見ていればいいだけになります。際どいのはカットし、手が届く打ちごろのボールを打つだけでおっけー。
恐らく、両者とも四球や内野安打で先頭を出して、慎重になったのだと思います。2人合わせても、胸元の起こすようなボールは山口がAJに投げた2球目だけ。実際、その打席は最後に外のチェンジアップで遊ゴロに仕留めています。
ぜいたくな勝ち方
すっきりしない勝ち方で不安になるファンもいるかと思いますが、僕は悪いところを出しながら結果的に勝てたのはすごくよかったと思っています。
前述した森福や山口は準決勝、決勝でも投げてもらわなければいけない投手。今まで順調だっただけに、ここで一度ウミを出せたのは必ず次に生きます。それを含め、投手陣はいいところと悪いところ、改めてやるべきことがはっきりしました。
打線は非常によかったです。ホームランもあれば四球とヒットでつないだタイムリーあり、様々なパターンで得点しました。(欲を言えば一度スクイズするのを観たかったのですが、そんなチームじゃないですかね?)追い上げられた終盤には不調だった長野がタイムリー。大量リードの中ではなく、「ここで一本ほしい」時に打ったというのがまた何倍も感触がいいでしょう。長野も打線全体も、この勝負強さを持続してほしいですね。
勝ちながら悪かった点を洗い出す……こんなぜいたくな勝ち方はないでしょう。プロ中のプロが集まるチームですから、必ず次につなげてくれるはず。実戦でこれができたのはかなり大きな収穫です。
ところ変わって、いよいよアメリカでの2戦! 原監督風に言えば「胸を借りて」相手とぶつかり合って、一戦必勝を期する闘いを見せてほしいです。そしてファンも全力で応援する! 4年に一度の野球の世界祭典、最後まで思いっ切り楽しみましょう。