野球

【WBC1次ラウンド】日本−ブラジル レビュー 苦戦の理由とブラジル野球の特徴

今更感がまんまんなのですが、せっかく4年に一度の野球の世界イベントなので、日本戦を追っていこうと思います。今日は初陣だったブラジル戦です。予想外に苦戦したわけですが、それにはこんな理由がありました。

 

狙い打たれた直球

キャッチャーと先発ピッチャーの間には、その日のピッチングプランがあります。一巡目の組み立て、二巡目の組み立て、あるいは1〜3回と4〜6回など、パターンを変えたりします。

この日のマー君と相川は、恐らく一巡目は直球系主体でいこうとしたはずです。マー君の威力あるボールで圧倒し、向こうが負けじとなったところで変化球を織り交ぜるというプランがあったと思います。

ところがブラジルも直球狙いだった。狙いが一致し、うまく打ち返されました。予想以上にブラジル打線が直球系に強かった。主軸に据えようとした直球が打たれてしまったので、ピッチングを切り替えるにしても後手に回ってしまいました。初回、2回と、ヒットを打たれたのはオルランドがスライダーを一二塁間に運んだ以外はすべて直球系です。春先のマー君らしいといいますか、球も高めに浮いてしまい、いい当たりを連発されました。

マー君から得点したのは初回だけでしたが、2回も連打がありましたし、あれでブラジルは「いける」と手応えを掴んだ立ち上がりでした。

緻密というよりも素直なブラジル野球

番組ではしきりに日本の野球DNAが継承されているというようなVを流していましたが、野球発展途上国というのもあってか、そこまで緻密さは感じませんでした。むしろ素直ですね。素直な高校野球っぽかったです。

打者も投手も、積極性を失わないのが印象に残りました。打者はストレートに狙いをしぼって強く振る。投手はどの球種でも思い切り投げる。あまり置きにいくような仕草は見られませんでした。

打者の積極性はもっと具体的な結果を出しています。すなわち、インコースに強いということ。強く振るので差し込まれないんですね。特に3番のレジナット。強いスイングを繰り出し、タイムリーを含むヒット3本はすべてインコースをレフト方向へ球威に負けることなく打ち返しました。4回の勝ち越し打は、リスペクトがなかったとまでは言いませんが、日本側に警戒が足りなかった攻めだったと思います。

日本、序盤と8回の打撃の違い

初回に先制された日本は、その初回と2回に四球でランナーを出しますが、それを活かすことができませんでした。

ブラジル先発のフェルナンデスは典型的な身体の開きが早い投手です。左肩の開きが早いので、ボールをコントロールする部位が右腕だけになります。そうすると、あんなふうに抜けたり引っかかったりする。唯一左打者のインコースにだけいいボールがいっていたのは、打者の身体が目印になって身体が開かなくなるからです。

で、日本ではああいう投手はほとんど一軍に上がってこないんですね。つまり日本の打者、ましてや国を代表するような選手たちは、ああいう荒れた投手に慣れていない。荒れた投手相手に高めを狙うと、長打の可能性も上がりますが、打ち上げる可能性も上がります。ちょっとボールが高くなるだけで、ヒットがポップフライになるからです。実際、フェルナンデスのとったアウト9つのうち、犠打ひとつと三振ひとつを除いて全部フライアウトです。

逆に8回の逆転劇は、すべてベルトラインから下を捉えています。追う展開と8回というのもあって、みんな上げずにつなぐ意識が強かったのではないでしょうか。象徴的だったのは井端と慎ちゃんの打撃ですよね。井端は左投手の低めストレートを逆らわずに右へ、慎ちゃんは外のボールをセンターへ強く打ち返しました。井端は救世主といってもいい存在です。

観ているぶんにはハラハラドキドキで面白かったけど、野球発展途上国相手にはさすがに楽勝してほしい……など、色々な感情もあるかと思いますが、1次ラウンドはこれくらいギリギリでいいと僕は思います。結果論ではありますが、緊張感のある試合を続けて、なおかつそれで勝てているのですから、変に緩むこともなさそうです。

中国戦の記事が木曜日以降になりそうなので先に言っちゃいますが、キューバ戦が現在の代表の状態を知るバロメータになりそうですね。

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