野球

【WBC1次ラウンド】キューバ −日本レビュー 対欧米最終決戦仕様マー君

中国戦の録画をまだ観ていないので、先にTV観戦した今日のキューバ戦をレビューしちゃいます。負けちゃいましたが、最後の粘りはとても心にくるものがありました。あそこで粘ったことは、次戦だけでなく、これからの闘いで必ず糧になる経験です。本気の国際試合の中で、追い詰められた状況でどうやって3点返したか。絶対に今日の9回表の3点が力を与えてくれる時が来ます。

さて、今回は投打についてひとつずつポイントを挙げていきましょう。投はマー君、打は「仕掛け」についてです。

対欧米最終決戦仕様マー君

4回に2番手で登板したマー君は、先頭のフェルナンデスに直球をセンター前へ弾き返されると、続く4番セペタに浮いたスライダーを右中間へ運ばれ、わずか5球で1点を失いました。

5番アブレウは裏をかいたインコースのストレートで見逃し三振にとりましたが、6番のデスパイネにはインハイの直球をバットを折りながらレフト前へ運ばれ、一三塁のピンチに。

バッテリーはここで組み立てを変えました。迎えたトマスに対して初球カーブで入ると、スライダー、スプリット(あるいは速いフォーク)、スプリットと続けて空振り三振に切ってとります。

5回もマウンドに上がったマー君は三者三振でキューバの攻撃を封じたわけですが、この回投じた15球のうちストレートはわずか3球。あとはすべて変化球です。シーズン中はあまり投げないカーブも、アルエバルエナには2球目に、エレディアとグリエルには初球に使うなど、変化球に重点を置くピッチング。決め球はすべてスライダーでした。

対欧米最終決戦仕様マー君の完成です。

ブラジルにしろキューバにしろ、ストレートに狙いを定めてどんどん振ってきます。力負けしてくれないのですね。骨格の違いというのも多分にあると思います。

そこで重宝するのが、ストレートに似た変化球。先発・大隣のチェンジアップが効果的だったように、高速スライダーやスプリットという、ストレートと変わらない球速や軌道から曲がる変化球がかなりの威力を発揮していました。マー君が今後アジア以外の国に対して投げるなら、この変化球中心の組み立てでいくのではないでしょうか。

2次ラウンド進出が決まっている状況でキューバという強豪チームと対戦し、このような収穫を得たのは大きいです。

 

仕掛けを見せて!

一方で不甲斐なかったのが打撃陣。

確かに、キューバのピッチャー陣は非常にレベルが高かったです。キューバらしい本格派はほとんどおらず、技巧派投手がたくさん出てきました。先発のペレス、4番手のゴンサレスといったサウスポーが、あんなに右打者の外からスライダーやカーブを入れるのが上手いとは思いませんでした。外から入れる変化球がいいと、外のストレートにも手が出にくくなります。あれはなかなか打てません。2番手の変則右腕・ゲバラにもかなり苦戦しました。

打者が後手に回るのは、野球ではある意味必然です。「守備」と表現していますが、最初に仕掛けるのは投手なのですから、アドバンテージをもって攻めているのは投手。打者はいつだって受け身です。

だからこそ、バントの構えやセフティで揺さぶるなど、アドバンテージを少しでも揺るがすような動きをしてほしい。国内チームとの試合も含め、そういう動きを見せたのは今日の9回の本多が初めてではなかったでしょうか。

前回は川﨑、青木、そしてイチローなどがいました。今回の野手陣は、確かにアベレージも残せて足もある選手たちですが、簡単に言うと3番タイプばっかりです。1番タイプがほとんどいない。1番と3番は求められる能力は似ていますが、やっぱり違うものなのです。さすがに放送席の誰かみたいに相川にまでセフティやれとは言えませんが、長野や鳥谷、稼頭央あたりはそんな動きを見せてもいいのではないでしょうか。

 

ファンも諦めない

散々好機を逸していた日本ですが、9回にようやく打線がつながりました。相手投手が荒れていたのもありますが、翔さんや角中、本多がボールを選び、長野の内野安打、鳥谷の犠飛、井端のタイムリーで3点を返す展開。

この3点の意味は冒頭に述べましたが、最後にやっと見せた反撃に球場が今日一番沸きました。残念ながら追いつくことはできませんでしたが、本当にスポーツは最後まで何が起こるか分からない、可能性があるんだということを、観ている者に印象づけたと思います。

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