3連覇達成! ブイスリャー!!
個人タイトルを獲れる成績を残している選手は、野手ではいません。投手陣も、去年、一昨年を支えていた“スコット鉄太朗”がシーズン当初から不安定。例年になくマイナス要素がいくつも重なる中でのシーズンでした。
それでも、春はエース内海がまったく勝てない中で菅野が奮闘。打線では新戦力の片岡、一軍に定着した橋本が地力を見せて打線を支えました。菅野が離脱したあとは小山が台頭。阿部の負担を減らすために起用された小林が好打・好リードを見せます。何より、一年を通じて安定感のある打撃と好守を見せた坂本勇人。こんなに安心して見られた勇人は今年が初めてです。隠善も、加藤も、實松も、香月も、セペダだって……。
名前を挙げればきりがないくらい。それほど、全員の力が必要だった。一軍の試合に出なかった選手も含め、もちろんスタッフも入れて、誰一人として必要のない人はいなかったのです。79勝の中で1勝でも落としていたら、結果は違っていた。原辰徳監督を先頭に、誰もが1試合の中での、1年の中での勝負どころを把握しており、そこでしっかりと力を発揮したからこそ、何度も訪れた天王山をすべて(本当にすべて)勝利することができたのでしょう。
「総6番打者打線」とは言い得て妙です。首位打者争いも本塁打王争いをする選手もいません。けれども、投手陣がチームを支え、勝負を仕掛ける場面では一気呵成に攻めて取り切る。本当の意味で「野球がうまい」チームだったと思います。極上の野球を見られたことが嬉しいし、それが贔屓チームであることに、この上ない幸せを感じています。
明日からCSへ向けての準備が始まります。ここ2年よりずっと難しいシリーズになるでしょう。そんな試合を経験することで、ジャイアンツはどんどん強くなっていきます。選手がどんなプレーを見せ、どれほどの成長を遂げてくれるのか。原監督と糸井重里さんとの対談で出てきた、僕の好きな言葉を最後に記しながら、楽しみにしていようと思います。
原 なんというか‥‥
チームを動かすなかで、
こうありたいとか、こうしたいとか、
こういうふうにするぞ、とかっていうのは、
「ウソのはじまり」なんです。糸井 あ、そうですか。
つまり、違う方向へ進んでしまうというか。原 ええ。
理想は理想で、持っていいんですよ。
ただ、やっぱりね、
ひとりひとりの選手には、
理想とか想像を超越するほどの、
もっとすごいパワーがあるわけです。糸井 ああー。
原 自分の小さな理想とか固定観念で、
チームをつくろうとしたって、
たいしたチームはできないですよ。糸井 監督の我を通すみたいなことをしたら、
いいチームにはならないと。原 そこそこはできるかもしれないけど、
最上級のチームにはならないと思いますね。糸井 おもしろいですね、そこは。
つまり、監督の考える理想なんかより、
現実のほうが豊かだってことですよね。原 そうです、そうです。
はるかに、豊かなんです。糸井 はーー。
原 そこを信じなければ、
チームの指揮を取ってても
おもしろくないですよ。