響け!ユーフォニアム3

特別だから一緒にいたい麗奈と特別だから離れても大丈夫な久美子ー「響け!ユーフォニアム3」第5話感想

秀一、状況はこれ以上なく劣勢だ……久美子に必要なものは全部麗奈が与えとる……!

まー塚本秀一が黄前久美子にまだ恋愛感情を抱き続けているのかはまた別問題として、秀一自身は少しずつ変わってきているんですよね。幹部会議ではオーディションの時期を少し遅らせる秀一の意見が通り、オーディション自体の回数が増えることになったのも、強豪校を参考にしてみては、という彼の意見からでした。さらには、月永求に気を使ってあがた祭りに誘うなど、1話2話あたりのフワッとした意見を話す男子像から激変。ティーンエイジャーは数日、数ヶ月で変わるものですね。

数日や数ヶ月というスパンではありませんが、久美子も中身がガラリと変わった人物の一人です。今回は、そんなところが感じられるシーンが描かれていましたね。

あの頃に戻りたくない久美子

この2年と少しでの久美子の変化は、二者面談から終盤までずっと描かれています。象徴的なのは、「目標を立てて頑張るのももちろんいいが、たいていすべて設計図どおりにはいかないものだ。考えすぎも良くないぞ」という松本美知恵先生の言葉に対して、「でも本当に目標もなく決めていいのかなって」と返すシーンです。

もともとの久美子は、ダメ金でも良かったじゃないかと思うタイプ。隣で悔しさに涙する高坂麗奈との違いが際立っていました。それが北宇治高校に入り、麗奈や滝昇先生を始めさまざまな人々と関わることで変わっていった。今では、目標を掲げてそれを目指すことが当たり前になっています。おそらく自己評価は中学時代のままなのでしょうね。けれど、中身は大きく変わっている。

「迷いを怠けの言い訳にするなよ。やらない理由を探すクセがつくと、いつか身動きが取れなくなるぞ」という、見ている大人にも響く美知恵先生の言葉。何か動いてみなよ、と言っているのでしょうか。だからパンフレットを渡すんですね。

この迷いは、麗奈の部屋でお茶を飲んでいるシーンでも続きます。麗奈が何度も音大受験に誘う一方で、久美子にとって音大は大人になっても演奏を続けたい人が行くべきところ。つまり、目標がある人が行くところなんですよね。自分が大人になっても音楽をやっているとは思えない。でも、目標がないから普通の大学に行くというのは、あの頃の自分に戻るようで嫌、でもでも、この2年少々で最も打ち込んできたのは音楽。この狭間で久美子は悩んでいます。

要は、消極的な選択をしたくないということだと思います。それこそ麗奈のように、自分で決めて、自分で選びたい。しかしそのきっかけが掴めない。音大はなしだけど、やってきたのは音楽だから。ある意味、久美子がいかに吹奏楽部に打ち込んできたかがわかるとも言えますね。

これに関しては、そう簡単に答えは出ない問題です。もしかすると、終盤になってようやく答えが見つけられるかもしれない。ただ、一つ言えるのは、目標を立てるためには「自分にとっての何かを見つけるしかないのだろうか?」ということ。例えば、誰かにとっての何者かになるというのも、立派な目標ですよね。

その点で言えば、「誰か」は麗奈になるのでしょうけれど……目をうるませながら?家に誘う麗奈にはドキッとせざるをえません。というか、こんなに仲良いのにおうちに行ったことなかったんかいと思ってしまいました。

でも、それも納得できたのが最後の河原でのシーン。進路が違っても大丈夫だと言う久美子に対して、「本当に? 久美子が音大じゃなく普通の大学に行っても?」と麗奈は確認します。

麗奈にとっては、久美子とのつながりは音楽です。この二人は吹奏楽によって強烈につながっています。それしかないと言ったら極論かもしれないけれど、あながち間違いでもないはず。だから、家に誘うのもなんかドギマギするし、久美子と一緒に音大に行きたい。自分より先に真由とソリを吹いたことも擦る。

なぜならば、麗奈にとって自分と久美子の関係は特別だから。

面白いですよね。麗奈は特別だから一緒にいたいと思うし、久美子は特別だから離れても大丈夫だと思う。ちょっぴり独占欲が強いところも、麗奈の可愛らしい一面ですね。逆に久美子は、黒江真由にあがた祭りへと誘われても、おそらく麗奈のことを想定して断っている。離れていても、特別だからそうする。二人の価値観がよく表れています。

真由の制服は揃ったけれど……。

最後に、真由について軽く触れましょう。まずオーディションを辞退したがる理由がすごい。「だって私も出ることになったら、一枠埋まるわけでしょ? やっぱり北宇治で長くやってる人が優先で出るべきだと思うんだよね」と堂々と言ってのける胆力。これ、作中では誰も言及はしていないのですが、真由自身は何をどう見ても久美子や久石奏よりも自分の方がうまいだろうと思えているのではないでしょうか。そうでもなければ、彼女からこういうセリフは出てこなさそうな気が……。

真由の音色は作中で少し流れていますが、あれはユーフォニアム奏者が聞くと明確に久美子との差があるのでしょうか? 私こと素人の耳には音色が違うことこそ分かりますが、優劣はわからず……もし機会があったら経験者さんに聞いてみたいところです。

さて、そんな真由も季節の移ろいによって、初めて他の部員と同じ制服に袖を通すこととなりました。個人的には過去の記事でも書いたように、制服の違いは北宇治への溶け込み具合を表していると思っていたので、多少なりとも馴染んできた証なのでしょうか。

そしてあなたも夏服でストッキングを履くんだね……田中あすか先輩みたいに……。

新たな一面としてカメラ好きな子であることも明らかになりましたね。90年代っぽいフィルムカメラが愛機である様子。そんなわけで、あがた祭りではカメラマンとしてみんなの写真を撮るわけですが、少なくとも描写されている中では、その写真に自分は入っていない。まだ北宇治の一員となるには時間がかかりそうですが、なんとなく、真由は何かに怖がっている……あるいは、ひどく心配しているようにも見えてきました。

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