はねバド!

理子、叫んでいいんだよ!―「はねバド!」第6話感想

「新生北小町高校って感じでさ」

3年生の泉理子は、今の北小町高校バドミントン部に手応えを感じています。レベルが高い子が入部してくると周囲も引っ張られて活気が出てくるのは、どのスポーツも同じ。それだけでなく、元オリンピック代表候補のコーチや、マネージャーまで加わりました。かつてない恵まれた環境に、理子も全国を目指してがんばると目を輝かせます。

しかし、最後の夏であるインターハイ予選。理子は個人戦の初戦で、昨年のベスト4・逗子総合高校の石澤望と対戦することになってしまいました。「それじゃあ厳しいかな」という羽咲綾乃の素直すぎる言葉が刺さります。

「最後なのに運が悪いよね」という理子の一言は、重くなっていた空気を少しでも軽くしようとする気遣いであると同時に、彼女の本心でもあったでしょう。最後なのに、3年間の集大成なのに、なんでいきなりこんな格上と当たってしまうんだろう。「適当にラリーを続けていれば……」という親友の言葉にも、思わず「一緒にしないで」と強く返してしまいます。

理子は、自分には望や荒垣なぎさのような能力は――才能は、ないと自覚しているのです。それが見えてしまうのも、ずっとバドミントン部全体に目と気を配っていた理子ならではのことでもありますし、同時に彼女が他人に見せられなかった弱さでもあります。私はなぎさたちのような才能はない。そう思い続けるのは、“敗北”を受け入れ続けることでもあるのです。

あの時、「部活のバドミントンなんか、何の意味もないです」と言った綾乃に対し、「意味なくなんかない!」と誰よりも先に反論したのは理子でした。「死ぬほどがんばって、どうしても勝ちたくて」。そういう思いを、なぎさを始めとした部員たちが抱いていることはよく知っている。でももしかすると、自分にもそんな強い思いがあることを、理子はうまく把握していなかったのかもしれません。

泉理子という子は優しい性格であるぶん、周りを優先して物事を客観視できてしまう。そして部内では先輩の役割、家では姉の役割を演じている。つまり、「聞き分けの良い子」であり続けてしまうのです。だから、「相手が誰であろうと、何が何でも勝ちたい!」と“ワガママ”を言えない。それが理子の弱さでもあり、同時にとてもいじらしく愛おしいところでもあります。

でも、そんな理子だって、思いっ切り「勝ちたい!」ってワガママを言ってもいいのです。だって、ずっとがんばってきたのですから。

葉山行輝が言った「悔いのないようにしたいよな」。それって、どういうことでしょうか。僕は恥も外聞も捨て、弱さをもさらけ出し、コートで全力を出し尽くすことだと思います。だから、インターバル中にうずくまってノートにチャートを書き出してもいい。「私なんかが」なんて思わずに、勝ちたい気持ちを目いっぱい叫んでもいいんです。

自分には圧倒的なスマッシュも恵まれた運動神経も「ない」こと、それでもずっと努力を積み重ねてきたこと、そして何より勝ちたい気持ちが「ある」こと。それらをすべて受け入れて発露することで、新しい道が見えてくる。手を焼いた望のカットスマッシュへの対策を試合中に編み出したのは、理子が持ち前の性格と努力でずっと育んできた粘りと分析力が生んだもの。彼女の中で眠っていた、“泉理子の新しいバドミントン”なのです。

前回大会ベスト4の格上に対し、グッドゲームを演じ切った理子。高校3年間と勝ちたい気持ちを、存分にコートにぶつけたからこそ、その目から充実感と悔し涙があふれます。そんな理子だから、この言葉が言えるのです。

「やっぱ、バドミントンって楽しいです!」

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