この上なく熱くなりたいならこれ―映画「クリード チャンプを継ぐ男」

この上なく熱くなりたいならこれ―映画「クリード チャンプを継ぐ男」

 久しぶりの映画感想です。先日、2週連続で「クリード」を見てきました。「ラブライブ!」以来、同じ映画を見ることに抵抗がなくなっていますね。

 とはいえおもしろくなければ立て続けに2回も3回も見られません。王道でありつつ、最後は本当に見ているこちらも熱くなれる映画でした。
 
【以下ネタバレあり】

 「クリード」は、映画「ロッキー」の次世代の物語です。主人公であるアドニス・ジョンソンはロッキーと死闘を演じた伝説のボクサー、アポロ・クリードの息子。息子といっても愛人との間にできた子であり、またアポロは生まれる前に亡くなってしまったため、父親のことはよく知りません。

 実の母が亡くなって施設に入ったアドニスを引き取ったのは、アポロの本妻であるメアリー・アンでした。メアリーはアドニスを大事に育て、アドニス自身も一流企業に入って昇進を重ねるなど、順風満帆の人生を送っていました。

 しかし、アドニスには確かにアポロの血が流れていたのです。

 勤めていた会社を辞め、プロボクサーになるべく家を出たアドニスは、フィラデルフィアでレストランを営みながら暮らすロッキーを訪ね、コーチになってほしいと頼み込みます。一度は固辞したロッキーでしたが、アドニスの熱意と素質を感じ取り、その手で鍛え上げることを決めるのです。

 

 大雑把にストーリーを語れば、若者が失敗や挫折を繰り返しながらも上り詰めていくという「王道」です。しかしそこに“男の孤独”とでも言うべきものがあるからこそ、この物語はより輝きます。

 アドニスは独りでした。偉大なるボクサーを父に持ちながら、いわくつきの出自をも持ってしまった自分を鍛えてくれるコーチはいません。セコンドもつかず、たった一人でメキシコのリングに上がり続けていたのです。

 確かにボクサーは、リングの上では1vs1です。しかし、映画序盤のアドニスは「孤独」ではなく「孤立」だったと言うべきでしょう。

 不自由のない暮らしから飛び出したアドニスは、ロッキーに出会い、進行性難聴を患う歌手のビアンカ(のちにアドニスの恋人となります)と出会い、彼らに支えてもらいながら「孤立」から「孤独」へと進んでいきます。

 恵まれた環境を捨てながら、やりたいこと、なりたいものを必死に追い求めるアドニス。それをサポートする魅力的な脇役たち。そしてリングでの闘い。見ている人が熱くなれる要素がこれでもかと盛り込まれているのです。

 

 トレーニングを重ね、どんどんたくましくなっていくアドニスを演じるマイケル・B・ジョーダンの身体は一見の価値あり。黒人さんのスマートかつ力強く鍛え上げられた身体を見ると「自分ももっとちゃんと鍛えなきゃ」と思ってしまうくらいカッコいい。

 アドニスと二人三脚で、もう一度高みへのぼろうとするロッキーことシルベスター・スタローンの演技は、実に味のあるものでした。厳しさと好々爺らしさを合わせ持った“良きおじいちゃん”です。

 またカメラワークも見どころのひとつ。場面転換が多くあり、多少カットは細切れになっているのですが、特にアドニスがロッキーに師事してからの第1戦・レオ戦では、1試合を通じてカメラを長回ししており、リング上の緊張感を存分に堪能できます。

 最後の試合、あの場面で「ロッキーのテーマ」を使うのはもうズルいとしか言い様がない! 思わず立ち上がって叫んでしまいそうなほどゾクゾクとしてしまう名シーンでした。BDを買って、何度でも見たい映画の一本です。

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