輝きは、いつも君のこころに―ラブライブ!サンシャイン!!第13話感想

輝きは、いつも君のこころに―ラブライブ!サンシャイン!!第13話感想

 「せーの」と合わせなくても、「Aqoursです」と9人揃ってえられるようになった。彼女たちのつながりが強くなっていることが伺えるシーンで、物語は始まりました。

 共通の目標を持ち、本当の意味でひとつにまとまることができたAqours。この大きなステージで、彼女たちが伝えようとしたことは一体なんだったのでしょうか。

高海千歌が見た“高海千歌”

 浦ノ星女学院の学校説明会への参加希望者は、相変わらず0のまま。「0を1にする」ことを掲げたAqoursにとって、この参加希望者を「1」にするのも目標のひとつです。

 猛暑が続く中、毎日学校にやってきて練習を続ける高海千歌たち。決して楽ではないことは確かですが、よしみ、いつき、むつの3人の目には、その姿はとてもまぶしく見えています。3人はAqoursが学校を存続させるためにスクールアイドルをやっていると考えており、その動機からすると悲壮感も漂いそうなものですが、千歌たちからそんなものは微塵も感じられません。それは、自分で定めた目標に向かって真っ直ぐ進んでいるから。ゆえに放たれる輝きが、人を惹きつけます。

 むつたちは、スクールアイドルになってAqoursと一緒に学校を救いたいと申し出ます。彼女たちだけではありません。「他にも、もっと自分たちにも何かできるんじゃないかって考えてる子、結構いるみたい」。ただ、それも使命感から来るものとはちょっと違うようです。「そんなにスクールアイドルっておもしろいのかなって」という言葉のとおり、Aqoursがスクールアイドルを心底楽しそうにやっているからこそ、「自分たちもやりたい」と思うのでしょう。

 その姿は、Aqoursを始める前の千歌そのものです。

「何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目もふらずに走りたくて、でも何をやっていいか分からなくてくすぶっていた私の全てを吹き飛ばし、舞い降りた」

 千歌にとってこの「舞い降りた」モノがスクールアイドルであり、μ’sです。同じように、むつたち3人の前に「舞い降りた」のがAqours。μ’sを追うのをやめ、自分は自分だと決めた人たちだからこそ、μ’sと同じ輝きを放つことができます。

 

津島善子の“リアル”

 東海地区予選の会場に到着し、いよいよ目前に迫ったAqoursのステージ。楽屋や客席では、メンバー9人がそれぞれの思いを吐露します。

 「今こそがリアル、リアルこそが正義」と言い放ったのは津島善子です。あれだけ“ヨハネ”という虚構を振りまいてきた善子が言うのは意外に思われるかもしれませんが、ここに彼女の強さが表れています。

 善子は「今こそがリアル」だとわかっているのです。その上で“ヨハネ”でいたということは、ヨハネは善子にとって逃げる場所ではない。「堕天使」にの世界が大好きで、彼女はただただそれを表現しているだけです。だから、いつ何時も善子の世界はブレることがない。とてもキラキラしているし、強いんですよね。

 世間では「厨二病」と半ば蔑まれているものが好きな善子。でもAqoursは、自分の「好き」を目いっぱい追って、表現してもいい場所です。だから彼女は、ここに連れてきてくれた同級生に、目に涙をたたえながら感謝を伝えます。

 涙ながらに自分を抱き締めた善子を、国木田花丸は“ヨハネ”の言葉で受け止めます。TPOをわきまえるべきシーンで「やめるずら」と、都度善子のヨハネ化を止めていた彼女がこう応えたことにグッときた人は多いのではないでしょうか。

 

自分のステージに上がれるのは、自分だけ

 スクールアイドルはつながっていくものです。μ’sにあこがれてスクールアイドルを始めた黒澤ダイヤと松浦果南は、クラスメイトの小原鞠莉を誘い、浦ノ星女学院でスクールアイドルを結成しました。わけあって一時は解散となりましたが、μ’sが作ったスクールアイドルの広がりは途切れることがありません。同じように、μ’sのようになりたいと思った千歌が、再びこの学校にスクールアイドルを生み出します。

 ラブライブがあって、μ’sがいて、彼女たちに憧れた千歌がいて、そこに渡辺曜と桜内梨子が加わる。2年生3人から黒澤ルビィたち1年生に広がり、そして3年生とつながる。まるで「0」のように、ひとつの輪ができていきます。

 その輪は、Aqoursの外に広がっていきました。むつたち他の生徒たちへ、そして学校の外へ、内浦の外へ。この町や学校にある「あたたかさ」が、μ’sと出会った千歌、東京からやってきた梨子をきっかけに、ついには丸ごと外の世界に飛び出しました。それは、スクールアイドルの力によるものです。

 このスクールアイドルの力はどこから来るのか? 今を楽しむことからですよね。先代は「今が最高」と言いましたが、「今」は決してうれしいことばかりではありません。辛くて大変なこともたくさんあります。でも、そのすべてを受け止めて、楽しむ。それがキラキラすること、輝くこと、そして輝きを広げていくことなんです。千歌たちAqoursのメンバーは、それを心で理解しています。

 もう、Aqoursは追ってはいけない存在になりました。自分から輝くことを理解したAqoursは、μ’sと同じです。だから、むつたちはステージに上がれない。

 「一緒に輝こう」と千歌は手を伸ばしましたが、彼女が言いたいのは同じことをやろうということじゃない。それぞれが目標を持ち、「0」からスタートして何かを作り、キラキラしようということです。1や10、100をなぞるわけではないその道には、苦しいこと、難しいこともあるでしょう。でも、それらを全部受けとめて楽しんだ先に、輝きが待っています。その人にしか作れない何かが生まれるのです。

 ステージに上がれなかったむつたちは、そして僕らは、自分たちの進む道を自分で見つけなければいけない――いいえ、見つけた方が絶対に良い。そうすれば、必ず輝ける。だから、Aqoursは最後にこう言うのです。

 君のこころは、輝いてるかい?

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 8 )
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  1. By 拓ちゃん

    お久しぶりです。
    8月の終わりから修羅場にハマってしまって、コメントもままならない状況でした。
    今もまだ修羅場が続いているのですが、13話を迎えてどうしてもコメントしたくて出てまいりました。

    13話をかけて、本当の意味での『Aqours』の誕生を丁寧に描いた1stシーズンなのだと思いました。
    まさに起承転結の『起』の字だったなぁ、と全13話を振り返って感じた次第です。

    1stシングルの「君のこころは輝いているかい?」で歌っていた通り、『まだ夢に気付いたばかり』
    本当のスタートラインはここからなのだ、と地区予選のステージでそれこそゼロから語り始めます。
    3年生達の件は綺麗に脇に置かれた感じでしたが、そこはステージ前にやってしまっていましたしね。
    でも、あの語りは彼女たちにとってとても大事で、そして伝えたい想いがそこにあって……
    だからこそ一緒に振り返って、“輝きたい”という夢を共有する舞台を作りだしたのかな、と思っています。

    その上で、むつ達がステージに上がれなかった理由を、うまく導いてくれたばかいぬさんの考察は
    いつもながらに感心してしまいます。
    自らが“綺羅星”の如く輝きを放てる存在であるからこそ『スター』になれる。
    それは夢のキラメキ……

    その夢に気付いたばかりのAqoursの面々の始まりの物語。
    13週、心から楽しませてもらいました。
    本当に感謝ですし、これからの彼女たちの活躍も楽しみでなりません。

    • By ばかいぬ

      >拓ちゃんさん
      ご無沙汰しております! 修羅場、お疲れ様でございます。

      おっしゃるとおり、13話を費やして、μ’sを見て何かをやりたいと思った
      たくさんの人間の中の一人を、丁寧に丁寧に描いた作品でしたね。
      ある意味μ’sより「普通」で、だからこそ彼女たちが過程とその先を語るあのステージは
      より説得力を持ったんじゃないかなと思います。

      むつたちの件、お褒めいただき光栄です!
      13週、一緒に楽しんでくださってありがとうございました!
      彼女たちの夢の続きが見られることを楽しみにしましょう(*´∀`*)

  2. By けー

    初コメント失礼します。
    貴方の感想を毎週楽しみに拝見させて頂いていたので、
    アニメ共々、一旦の完走が寂しくもあり、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
    最終話は、一見して彼女たちの突飛な行動から批判も多かったですが、このブログは愛を持って解釈されており、
    その世界にのめり込んで好意的に見ていた自分は大変嬉しかったです。
    ステージが円形だったのも意味があって、あの場所では、あの瞬間だけ、すべてが0で、すべてが一つの輪になったという解釈を自分はしました。
    それからの彼女たちなりの1は、これからはじまっていくのだし、
    それが一人ひとり描写されなくとも、素敵な最終回だったと思います。

    • By ばかいぬ

      >けーさん
      はじめまして! 毎週読みに来てくださっていたとのこと、本当にありがとうございます。

      やっぱり好きな作品、好きな子たちなので、一度は全部受け止めたい、物語や行動に込められた
      人間性や意味を理解したいという気持ちで書いていました(偉そうですが!)。
      最終話も同じで、それを喜んでいただけたことがとてもうれしいです。

      アリーナ型ステージへの解釈も、けーさんのおっしゃるとおりなんじゃないかと思います。
      みんなが各々の0を抱えて走り出し、その先陣を切ったのが、扉に向かって駆けていった千歌なのかもしれませんね。
      この作品らしい、良い最終回でした!

  3. By クッキー

    むつ達もステージに立つ→やっぱり立てないのくだりはどうしても自分では納得いく結論が出なかったのですが、この記事を読んで非常にスッキリした思いです。全13話の感想、毎週楽しく拝見しておりましたよ。

    このブログのおかげで、自分にとって違和感のある展開や描写に出会っても、「どうしてこういう風にしたんだろう?」と考えるクセがつきました。その結果「楽しい」と思える幅が広がったように思います。賛否分かれている演劇シーンや客席飛び出すシーンも自分なりに意味を見つけられましたし。

    もしそういう考えがなければ、サンシャイン13話の感想は全く違ったものになっていたかもしれません。自分の幅を広げてくださって感謝!の一言です。

    今後のサンシャインの展開と、ばかいぬさんの素敵な記事を楽しみにしております。

    • By ばかいぬ

      >クッキーさん
      コメント、ありがとうございます! そして毎週記事を楽しみにしてくださり、本当にうれしく思います。

      プロが手がける作品で、ましてやこれだけけのコンテンツですから、大体のことには意味があるのだと考えています。
      そう考えながら見ると、クッキーさんが書いてくださったみたいに色々な発見があるんですよね。
      自分なりの意味を見つけるというのが本当に大事で、作品を味わうってそういうことじゃないかなーって思っています。

      「ラブライブ!」を楽しむ一助になれて、すっごくうれしいです!
      どこかで記事が目に入りましたら、またぜひ遊びにいらしてくださいね(*´∀`*)

  4. By アイ

    こんにちは。^^
    昨日コメントさせていただいたアイと申します。

    早速再訪問させていただき、この記事を読ませていただいて
    またもや涙が止まらなくなってしまいました。

    ブログの記事でティッシュを使うほど、こんなにオイオイ泣いてしまったのは久しぶりです。
    部長に「どうしたの?」って言われてしまいました( ̄▽ ̄;)

    これからは
    『僕の心は輝いているかい?』
    と問いかけながら、今を楽しく生きていきたいと思います。

    また、遊びにこさせていただきますね^^

    • By ばかいぬ

      >アイさん
      こんにちは! ライブのエントリのみならず、
      他のエントリも読んでくださり、ありがとうございます。

      わあ、そんなに感銘を受けてくださったとは!
      がんばって書いたかいがありました(*´∀`*)
      辛いことも楽しいことも全部受け止めてエンジョイする、
      それが輝くってことですよね。

      ぜひぜひ、またいらしてくださいませ〜!

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