ラブライブ!2期11話「私たちが決めたこと」感想 アイドルじゃない、μ’sなんだ

ラブライブ!2期11話「私たちが決めたこと」感想 アイドルじゃない、μ’sなんだ

 この展開を、ずっと待ち望んでいました。3年生が卒業したあと、μ’sはどうするのか。2期が始まって、11話に至るまでの間に、この件を話題にしたファンはきっと多かったと思いますし、僕も何度か話したことがあります。その時、決まって言っていたのは、「3年生が卒業したらμ’sは終わってほしい」ということでした。

 僕が3年生ファンということも大いにあります。しかしそれとは別に、いざ3年生が抜けて、誰か新しい子が入ったとして、それをμ’sと呼べるのか。僕は呼べません。だったら、「卒業」という終止線が定められている以上、そこでμ’sは終わってほしい。何なら、5thライブでも6thライブでもいいので、新田さんに「『ラブライブ!』は今日でおしまいです!」と高らかに宣言してほしい。それくらいに思っています。

 そうしたら、僕らは万感の思いを込めて「ありがとう」と言える。

 『ラブライブ!』がそうなると決まったわけではありませんが、ここまで大きくなった作品が、自ら終わりを定めるというのはなかなかないことです。どうしても後日譚やら何やらで “延命措置” を施してしまうことが多い。そうすると、いつ終わるのか、いつ感謝の気持ちを伝えればいいのかわからないと感じる時もあるのです。そのままフェードアウトされて、タイミングを逸してしまった、ということもあります。でも、「ここで終わり」と言ってくれれば、何の気兼ねもなしに、心の底から「ありがとう」と言える。共に過ごした時間を、この先ずっと大切に思うことができる。このような機会を与えてもらえることを、心から願ってやみません。

 さて、物語の内側に戻りましょう。繰り返しになりますが、「私たちが決めたこと」、それは3年生の卒業を迎えたのち、μ’sをどうするかということでした。

 

ふたりが気づかせてくれたこと

 事態はなかなかに複雑です。「一人欠けてもμ’sじゃない」という意見が多い一方で、当の欠ける人間は「続けなさいよ」と言う。そして新1年生には、μ’sに入ることを心待ちにしている子がいる。相反する希望が錯綜する中、絵里は言います。

「私たちは必ず卒業するの。スクールアイドルを続けることはできない。だから、その後のことを言ってはいけない。私はそう思ってる。決めるのは穂乃果たち。それが私の考え」

 正論だと思います。この学校に残り、過ごしていくのは穂乃果たちです。穂乃果たちが決めたいように決めればいい。でも、ああしてほしい、こうしてほしいという期待をかけられるほど、それに引っ張られるのもまた自然なこと。どれに応えようか迷っているうちに、いつの間にか自分の希望は地面の奥深くに埋もれてしまう。穂乃果たちの心情は、こんな具合だったと思います。

 しかし、埋もれてしまうけれど本心は確かにそこにあるのです。そこで、本心に相反する期待をぶつけられると、なんだか素直に応えられない。「私、μ’sに入っても問題ないですか」と問われても、「わからないよ」となってしまうのです。似たような経験が、皆さんにもおありかと思います。

 あんなにもμ’sに入りたがっていて、意もしないところで穂乃果を困らせてしまっていた亜里沙はしかし、ある夜を境に翻意します。

「私、μ’sが好き。9人が大好き。みんなと一緒に、一歩ずつ進むその姿が大好きなんだって。私が大好きなスクールアイドル、μ’sに、私はいない」

 「μ’s」というグループが好きなわけではない。この9人が集まっているから好きなのです。きっとμ’sという名前じゃなくても、この9人であれば亜里沙は好きになっていたでしょう。

 大事なのは、この9人であること。「亜里沙はμ’sのどこが好きなの」「どこが一番好きなところ」と雪穂に問われた亜里沙は、それに気づいた。終始冷静さを失わなかった雪穂と、自分のあこがれを捨ててまで「μ’s」と名づけられた9人を大事にしてくれた亜里沙に、穂乃果は本当に大切なこと、すなわち「この9人であること」に気づかされたのではないでしょうか。

 雪穂が亜里沙に投げかけた問いは、そのまま穂乃果にも当てはまることだったのです。

 

μ’sであること

 日曜日。9人は、みんなで一人ひとりの行きたいところへ行って遊びまくります。彼女たちの楽しそうなこと。まるで、ひとつひとつの思い出を刻んでいくかのようです。

 思い出を刻みながら、穂乃果は探していました。自分たちだけになれる場所。μ’sと同じ場所。そこで、「私たちが決めたこと」を告白するためです。たどり着いた海辺で、彼女たちはμ’sの終わりを宣言します。

「やっぱり、この9人なんだよ。この9人がμ’sなんだよ」
「誰かが抜けて、誰かが入って、それが普通なのはわかっています」
「でも、私たちはそうじゃない」
「μ’sはこの9人」
「誰かが欠けるなんて考えられない」
「一人でも欠けたら、μ’sじゃないの」

 亜里沙というファンは、この9人がμ’sであると言いました。同じ結論に、自分たちも達した。μ’sというのは、人の入れ物じゃないのです。μ’sにいる人がμ’sなのではなく、この9人が揃って初めてμ’sと呼ばれるのです。

 それは同時に、この9人でなくてはならない理由も意味します。なぜか。「ウチにとって、μ’sはこの9人だけ」だからです。

「同じ思いを持つ人がいるのに、どうしても手を取り合えなくて。真姫ちゃん見た時も、熱い思いはあるけど、どうつながっていいかわからない。そんな子が、ここにも、ここにも。そんな時、それを大きな力でつないでくれる存在が現れた。思いを同じくする人がいて、つないでくれる存在がいる。必ず形にしたかった。この9人で、何かを残したかった」

 μ’sを創った女神様は、この9人だからこそ、それぞれがこんなに強く大きな思いをもった9人だからこそ、みんなを「μ’s」という輪でつないだのです。3人の時から既に9人の女神を意味する「μ’s」と名づけたのは、この9人を絶対結ぶんだと思ったから。誰一人として独りにさせたくなかったから。一緒だった証として何かを残したかったから。だからこの9人じゃないとダメなんです。

 では、μ’sを残したいと言ったにこは?

 

「私がどんな思いでスクールアイドルをやってきたか、わかるでしょ? 3年生になって諦めかけてて、それがこんな奇跡にめぐりあえたのよ。終わっちゃったら、もう……」

 にこは、最高のアイドルになることが夢でした。ついてきてくれる仲間がいなくても、独りで自分の居場所を守ってきました。3年生というギリギリのタイミングでようやくμ’sに出会い、一番の仲間とともに、最高のアイドルへの階段を登ってきました。

 今回の前半で、後輩に向かって「続けなさいよ」「メンバーの卒業や脱退があっても、名前を変えずに続けていく。それがアイドルよ」とにこは語っています。彼女にとってμ’sは、アイドルを体現できる場所なんですね。「アイドルとはこういうものである」ということを表現できる場所。もっと簡単に言うと、アイドルになれる場所なんです。

 そして何より、アイドルが大好きなにこは、μ’sというアイドルが大好きになっていったのではないでしょうか。μ’sという「すばらしいアイドル」に出会い、その「すばらしいアイドル」と仲間になった。それはもう「すばらしい仲間」ですよね。その存在はもしかすると、にこにとってNo.1アイドルになる以上の夢だったかもしれません。

 ずっと追い求めていた夢が、ようやく実現し、形になった。ひょんなことから手に入ったわけではありません。ずっと追い求めて、やっとの思いで手にしたことなら、誰だってすぐには失くしたくない。ずっと取っておきたいと思うものでしょう。

 望んでいることは逆なのですが、希もにこも根本的なところは同じです。希にとっても、にこにとっても、そしてきっと絵里にも他の子たちにとっても、一番「らしく」いられる居場所がこのμ’sなのです。居場所というのは、人で決まるものです。名前で決まるわけじゃない。だからμ’sがずっとμ’sであり続けるために、この9人で終わらせる。この9人で終わらせるということは、この9人で初めて完成されるμ’sというチームを、永遠に残すことにもなります。彼女たちは、アイドルではなく、μ’sであることを選んだのです。

 

ただ自分たちのために

 思い出というのは、一般的には過去のことを指します。時が経ってから振り返って「ああ、あの時は楽しかったな」と認識する時間が思い出です。

でも、今いるこの時間が、いつか必ずかけがえのない思い出になる時間だと認識することができたら。その時間は、ただ過ごす時間よりもずっとずっと特別なものになるでしょう。彼女たちが過ごしているのは、そういう時間です。

 今の時間がかけがえのない思い出になると認識したその瞬間、この特別な時間の終わりもまた定められます。思い出とは、過去のものだからです。終わるから、過去のものになる。「思い出」になる。

 いつまでも続かない、この楽しくて幸せで大切な時間を過ごすということは、終わりに向かうということです。時の流れは、誰にも止めることはできません。いずれ終わるからこそ、辛くて幸せで、楽しくて寂しい。彼女たちは今、この幸福と哀絶を痛いほど噛み締めています。

 それでも、9人の歌の女神は、幸せも寂しさも、一緒に笑った時間もこぼした涙も、すべてを思いに変えていきます。μ’sの原動力は、「思い」。一緒に分かち合い、積み重ねた思いを、μ’sは余すことなくステージで表現してくれるはずです。

 勝手な言い分ではありますが、もうお客さんのことも、僕らのことも考えなくていいとさえ思ってしまいます。自分たちのため、この9人のために最高のラストライブをしてほしい。9人で、新しい、とびきり輝く思い出を作るために……。

 あの日、みんなで顔をくっつけあいながら撮った写真。これは、9人の最高の仲間とともに過ごした、その “証明” 写真なのです。

 

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 3 )
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  1. By たっつん

    ばかいぬさん

    僕は2期の5話からずっと泣いてしまっていましたが、この回が一番泣きました。

    ばかいぬさんは、泣きましたか?

    • By bakainu

      たっつんさん

      コメントありがとうございます!
      僕は泣くとまではいかなかったのですが、ついついジーンときてしまいました。
      こういう記事を書いているせいか、一歩離れて見てしまうクセがあるみたいです。

  2. By ゴジラ

    本当に悲しかったです。でも僕もこの9人だからこそμ’sだと思います!!!!

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