ラブライブ!2期9話「心のメロディ」感想 この気持ち、必ず伝えたい

 『Snow halation』というと、「これダンスわざとズラしてる?」と初見で見抜いた元モーヲタの友人を思い出します。あの時はドルヲタさんのすごさを思い知りました。彼は今、AKB48の高橋朱里さん?に首ったけです。

 さて、前回の終わりから、9話の最大の見どころはこの曲だと誰もがわかっていたことでしょう。あとはどうやってスノハレにたどり着くか。この9話の展開を見て、ふと1期3話を思い出しました。

 

来なかった人、ゼロ

 講堂での初ライブに臨む3人のμ’s。学校を救おうとする彼女たちの姿に、ヒデコ・フミコ・ミカのクラスメイトも手伝いに名乗り出ます。歌も「結構上手く」歌えるようになり、ダンスがかたまり、衣装が完成し、海未がいい意味で吹っ切れ、手助けしてくれる人も現れた。何もかもがうまくいき、ライブの成功を確信したはずがしかし、幕があがって見上げた先にいた観客は、ゼロ。誰も来はしなかったのです。

 今回も似たような流れがありました。妹の雪穂をはじめ、応援してくれる人たちがいる。ヒデコたちは率先して雪かきをしてくれている。生徒会長としての挨拶も落ち着いてこなしていた様子。しかしただひとつ、想像以上の悪天候という条件が、ただでさえ最終予選に挑む中で高まる緊張感を、さらに張り詰めたものにしていました。勢いよく本番まで突っ走っていった1期3話とは、違った空気です。

 いよいよ吹雪がひどくなり、会場までの移動手段をすべて遮断された2年生3人。1分1秒もムダにできない彼女たちは、自らの足での雪中行軍を開始。「誰よりもラブライブに出たい」という確かな意志をもって進んだその先には――。

「穂乃果たちのために集まってって。そしたら来たよ、全校生徒が」

 数ヶ月前、μ’sの前には誰もいませんでした。今、μ’sの目の前には全員がいます。

 1期は主に学校の中で活動していたμ’s。対照的に2期では、学校の外へ、外へと出ていく姿が印象的でした。学校の外は、言わばアウェイ。しかも今回は、今までで最悪の条件のアウェイだったはずです。しかし、そのアウェイの道も、サポーターによってホームになった。音ノ木坂が、広がったのです。

 確かに、穂乃果たちは自分の「やりたいこと」を追いかけてきました。しかしその中での第一目標は「学院の存続」です。自分たちの学校を守る。他の生徒たちからしてみれば “自分たちの居場所を守ってくれる” 存在であると言えます。これが生徒たちの心を動かした。居場所を守られた生徒たちが、今度はμ’sをμ’sのいるべき場所へと届けた。ファンと一緒に歩む、μ’sらしい……いえ、音ノ木坂学院らしいエピソードです。「音ノ木坂のみんなで作った道」、それは紛れもなく “音ノ木坂学院” そのものなのです。

 やっとの思いで会場にたどり着いた穂乃果は、絵里の腕の中で号泣します。がんばりが、何の成果も残さずに消えかけたファーストライブ。自分の努力も、みんなの努力もムダにした第1回ラブライブ。穂乃果は、失う怖さを知っています。

 同時に彼女は、この9人で第2回ラブライブに挑むと決めてからこれまで、限りある時間と限りある機会を常に意識していました。今回、この最終予選に間に合うかどうかの瀬戸際で、穂乃果は以前に経験した失う怖さ、何も残らない怖さと、ずっと戦っていたのではないでしょうか。目からこぼれた大粒の涙は、この不安や恐怖から解放された安堵の涙です。

 

「大好きを、大好きのまま、大好きって歌います」

 助けてくれたみんなに穂乃果が伝えるこのセリフ。彼女たちの原点はここです。ファーストライブの時から、ずっと変わっていないのです。

「このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて、全然もらえないかもしれない。でも、一生懸命がんばって、私たちがとにかくがんばって届けたい。今、私たちがここにいる、この思いを」

 「この思い」って、「大好き」ってことではないでしょうか。音ノ木坂が好きで、音ノ木坂に集まった生徒みんなが好きで、μ’sというチームのみんなに会わせてくれた音ノ木坂が大好き。学校が大好きで、音楽が大好きで、踊るのが大好きで、メンバーが大好きで、この毎日が大好きで、がんばるのが大好きで、歌うことが大好きで、μ’sが大好き。だから「やりたい」「続けたい」と願う。根底にあるこの「大好き」という気持ちで全員がつながったまま、ファーストライブと変わらない気持ちで、μ’sはここまで来ました。あの時も、今も、μ’sは全員が手と手をつないでステージに立っています。

 「好き」という気持ちは、対象があって初めて成立する感情です。だからμ’sの歌には必ず、届けたい相手や昇華したい気持ちがある。そのためにμ’sは、モニタ越しではなく、必ずみんなの目の前で歌い、踊るのではないでしょうか。

 「大好き」という思いを届けるための場所で披露された『Snow halation』。これは、みんなの「大好き」なものへの、最強のラブソングなのです。

 

みんなで叶える物語

 さて、このブログらしくないことですが、今回のエピソードは現実の『ラブライブ!』という作品の歩みと重ね合わさずにはいられません。

 3rdライブで徳井青空さんが話していたように、『ラブライブ!』の企画開始当初、ファンの数は微々たるものでした。そんな初期から、少しずつ、少しずつファンが集まり、ファンが支え、現実ではさいたまスーパーアリーナという大舞台に『ラブライブ!』という作品を導きました。もちろん演者を始め、スタッフの方々のがんばりが最初にあってこそのことですが、「観客」がいないと「ライブ」にならないように、ファンという存在は絶対不可欠のものです。そんなファンを増やせるかどうか、ファンを満足させられるものを本当に届けられるかどうか。穂乃果の「怖かった」という言葉は、演者やスタッフさん自身がいくばくか抱えていた感情だったやもしれません。

 観客ゼロのファーストライブから、観客からの声援がやまないラブライブ最終予選へ。そしてこの大舞台への道を、ファンが作る。大雪の中のライブというと2月の4thライブを思い起こさせますし、実際多分に意識して制作されたはずですが、この2期9話というひとつの節目を迎えて、改めてアニメ『ラブライブ!』の物語が、現実の『ラブライブ!』という作品が紡いできたストーリーと重なることを実感せずにはいられないのです。

 画面の中のμ’sも、僕らと同じ世界にいるμ’sも、常にファンとともに歩んできました。ひとつの集大成を迎えたこの9話で披露された『Snow halation』は、アニメでも現実でも、たくさんの気持ちが詰め込まれた曲。まさにこれは、穂乃果の言うように「みんなで作った曲」なのです。

 

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