本の感想

女性版“服着る”「マンガde学ぶ 大人のおしゃれ」

ファッション好き同士、お姉ちゃんとよくアパレルショップに行きます。お互いに試着して見せあっては、ここが良い、ここがイマイチと言い合うのが楽しいです。

そうして見ていると、女性のファッションっていろんな要素が絡み合っているんですね。色の組み合わせはもちろんのこと、背の高さや靴のチョイス、肌の色とアイテムのコンビネーション、そしてシルエットで全然変わってきます。アイテムをひとつ替えるだけで、同じ人なのにさまざまな表情を見せる。それがとってもおもしろいんです。

と同時に、そこがやっぱり難しいポイントでもありますよね。どこからコーディネートを考え始めたらいいのかわからない、どれをどう組み合わせたらいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。その答えを示してくれるのが「マンガde学ぶ 大人のおしゃれ」です。

女性版「服着る」

この本はかなりロジカルに、わかりやすく女性ファッションのコーデを説明しています。言わば女性向け「服を着るならこんなふうに」。MB氏のロジカルな理論を縞野やえ氏の読みやすいマンガで表現している「服着る」は、本当におもしろく、勉強にもなります。いずれレビューしたいと思っていますが、今回紹介する「マンガde学ぶ 大人のおしゃれ」はその女性版とでも言うべき本なのです。

例えばスキニーやテーパード、さまざまな形のパンツと体型の相性を説明したり。コンプレックスを持っている身体のポイントをうまく隠すアイテムやコーデを紹介したり。はたまた、年齢を考慮したコーデを提案したり。なるほど、女性ファッションではそういうところがポイントなのかと、男性の僕が読んでもめちゃくちゃおもしろいです。

構成はこんな感じ。ファッションアドバイザーの久保田卓也氏と、アシスタントとして登場する漫画家・矢島光氏が、ファッションにまつわる悩みを解決していくストーリーを軸に、8つの定番アイテムを1つずつ紹介していきます。そこから定番アイテムを基礎にしてアイテムを足して派生させたり、あるいは定番アイテム同士を組み合わせてブラッシュアップさせたり、明確な論理でもってファッションの悩みを解きほぐしていきます。

“4万円の女”

なるほど! と膝を打ったのが、予算の使い方。例えば5万円の予算があり、カーディガン、トップス、スカート、シューズを揃えようとしているとします。普通に考えれば1アイテム12,000円〜13,000円で揃えようとしますよね。でも違うんです。久保田氏はシューズに4万円使って、他はファストファッションで揃えろと指示します。前者なら“13,000円の女”になるけれど、後者は“4万円の女”になるというのです。

これは確かにそうなんです。女性だからそうというわけではなくて、男性でも同じ。僕も私服でよくやるのですが、シャツもニットもデニムもユニクロ、だけど足元に革靴を履くだけでグッと引き締まるんですよね。1個だけちょっと高級なアイテムを入れるだけで印象はガラリと変わります。

それに、一度値が張るけれど良いものを手にしておくと、値段は安いけどこれで代用できるな、というのが分かるようになるんです。いわゆる「安くていいモノ」が判別できるようになるんですね。

コーデのスタートを見つけよう

ひとつ注文をつけるとすれば、もっと靴にフォーカスする章があってもよかったと思います。同じコーデでも、スニーカーを履くかパンプスを履くかでまったくイメージが異なるので、続刊があればぜひ取り扱ってほしいところです。

Amazonでは絵柄のことで低評価が付いていますが、確かに「服着る」のタッチとはちょっと違いますね。少女コミック、レディコミのコミカルな作品みたいな感じでしょうか。しかし「服着る」くらい綺麗に描かれると、「この子は綺麗だから成り立つのであって、私とは違う」と距離を置いてしまう女性もいるかもしれない。これくらい親しみやすいタッチがちょうどいいのではないでしょうか。

どの服を買えばいいのかわからない、アイテムは多いけどうまく組み合わせられない、とにかくなんかしっくりこない、という方はぜひ買ってみてください。コーディネートのスタート地点が見つかる本です。

追記

本家の女性版「服を着るならこんなふうに for ladies’」が、2019年11月29日よりヤングエースUPにて連載開始されました。女性ファッションは非常に幅広いので、どちらも参考にしてみましょう。アイテムから体系的に学ぶなら「マンガde学ぶ 大人のおしゃれ」、ロジカルに学ぶなら「服着る for ladies’」という感じでしょうか。

マンガde学ぶ 大人のおしゃれ
飛鳥新社 (2017-01-20)
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