『マネーボール』観てきました

『マネーボール』観てきました

 打率、打点、ホームラン、球速、変化球、フォーム、そしてスカウトの目……これらの基準が「はびこる」チーム編成という領域に、セイバーメトリクスと呼ばれる新たな指標を持ち込んだオークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーン。彼の未だ続くGM人生を描いたノンフィクションです。

 

 

 前シーズンに年間38本塁打という記録を残した一塁手・ジオンビーを筆頭に、デーモン、イズリングハウゼンといった主力の放出を免れなくなってしまった貧乏球団、オークランド・アスレチックス。限られた予算の中で、なんとか同じような選手を発掘しようとする老スカウトたちに対して、メジャーリーグでは活躍できないと見限られた格安の選手たち使って穴を埋めようとする若きGM・ビリー。序盤に描かれるこの対比から、既成概念を打破するべく動くビリーの物語が始まります。

 

 原作となった「マネー・ボール」は、僕が大学生の頃に出版され、読みました。野球に対してこんな考え方があったのかと強く感銘を受けたのを覚えていますが、本はあくまで方法論を書いたのみ。映画はその中の人間関係、人の感情をきれいに埋めてくれました。

 

 スカウトたちの反対、自分が獲得してきた選手を使おうとしない監督……セイバーメトリクス理論を持つ若き右腕、ピーター・ブランド(リアルではポール・デポテスタ。自分の描かれ方に不満を抱いて実名使用を許可しなかったそうです)を得ても、なかなか自分の思うように進みません。そしてチームは連敗につぐ連敗。ブチギレたビリーは、監督と話し合いもせずに選手の入れ替えを断行し、選手に自分の考え・チーム作りの根拠を伝えます。

 

 それから、チームは連勝街道を突っ走ります。ア・リーグ記録の20連勝をマークし、チームはプレーオフの舞台に駆け登ります。これは試合展開も含めて現実を忠実に再現し、当時の映像も挟まれたりしています。
 プレーオフで敗れるも、その名をメジャーリーグに知らしめたGM・ビリー。そして彼のもとに、ボストン・レッドソックスからスポーツ史上最高額のGM契約が舞い込んできました。

 

 映画の中のビリーは、現実のビリー(といっても僕が知り合いなわけがないので、伝え聞いた話ですが)に、とても即した人物像で描かれています。盛大にバットを投げ、ウォーターサーバーを盛大に倒す。ちゃぶ台返しもする。とにかく短気な人物だったそうです。
 一方で、彼には高額の契約金に惑わされプロの選手になるも、期待されたような活躍ができなかったという過去がありました。スタンフォード大に進む道もあったビリーですが、決断を誤ってしまったのです。彼は「二度と金によって人生を左右されまいと心に誓った」という理由で、レッドソックスからのオファーを断ります。映画でも(当然ながら)同じ道を歩んでいて、ピーターの説得があり、残留を決めたというシーンがラストとなりました。

 

 2年後に、そのレッドソックスがビリーの理論を使って世界一となります。なんとも皮肉な結果に見えるかもしれませんが、ビリーの決断はあれでよかったのだと思います。確かに、潤沢な資金を使ってチーム作りができ、自身も高額なサラリーを得ることができる。でも、ビリーが自分自身の人生を使ってまで得た教訓は、「二度と金によって人生を左右されまい」ということでした。一番大切なものを使って得た結論なのです。後悔なんて、あるわけない。

 

 

 この映画は、リアリティを出すために選手役には元野球選手や野球経験のある俳優が起用されているそうです。ロイス・クレイトンは元メジャーリーガー、ジャスティス役のスティーブン・ビショップはマイナーリーグ在にいたことがあり、ジャスティス本人とも親交があるのだとか。野球経験者の僕から見ても、登場人物のフォームにまったく違和感がありませんでした。こういう点は大いに日本映画やドラマも見習ってほしいです……変なフォームのスポーツ映画・ドラマって、それだけで「これは偽物」って現実に戻されちゃいます。(あと、映画に変なサブタイトルつかなくて本当によかった)

 

 

 トレード期日最終日に、ビリーがジャイアンツの投手をひとり手に入れようと、四方に電話をかけまくるシーンがあります。他球団に話をつけて、ピーターがオーナーに資金提供を願い、交渉の末にOKをもらい、ふたりして渾身のガッツポーズを決める場面。目標をきちんと共有している、ビリーとピーターの関係を見事な演出で描いたあのシーンが、ひときわ心に残りました。

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  1. […]  締め方は先日観に行った「マネー・ボール」に近いです。しかしあの年のアスレチックスにしろ当時のマンチェスター・ユナイテッドにしろ、奇跡の復活を遂げたチームが最後の最後 […]

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