リトルバスターズ!第13話「終わりの始まる場所へ」感想

litbus13

 

 影のない少女――それが、美魚でした。そして美魚の影であった少女が美鳥。この「影が本体を乗っ取ろうとする」モチーフは古くから扱われてきたものですが、そこに周りの人を巻き込ませるのがKeyらしいところだと思います。

 

 美魚にも美鳥にも「存在」があって、それが他者に認識されて初めてそこにいることができる。「美魚」はあくまで存在の名前、他者が自分を認識するためのツールのひとつです。それを、美魚と美鳥が取引しているように見えます。

 

 美魚の希望は、「孤独で、気高く美しく、誰とも交わらない存在でありたい」。そうなるために、誰にも認識されぬまま昇華していくのが最良と考えていたのではないでしょうか。対して美鳥は実体がほしかった。誰とも交わらない存在のままでいるのを望む美魚と、存在を認識されて実体化したい美鳥。利害が一致したのです。

 

 しかし、理樹との、リトルバスターズとの出会いで美魚の決心が鈍った。誰の記憶にもとどまることなく消えていくはずが、リトルバスターズは美魚をひとりの仲間として確かに存在させてくれていた。その心地良さを知ってしまった。
 最後に美魚は、理樹へ若山牧水の歌集を託しました。少しだけ好きになった世界に、僅かばかりでも自分を残しておきたかったのでしょうか。「この本は、西園さんそのものだって言ってたよね」という理樹の言葉通り、美魚は現世にひとつだけ、本当に小さなパンの欠片を落としていったのです。

 

 

 美魚の記憶がリトルバスターズの面々からも消えていく様は、とても悲しいものでした。たとえ肉体がどこかにあろうと、存在の認識がなければそれは死と呼んでもいいのかもしれません。理樹までもが忘れ去り、美鳥が美魚として生きている世界で、理樹はひとつのパンの欠片を拾います。

 

 「いやだなぁ、それじゃあまるで私が悪いことしたみたいじゃない。私は何もしてないよ」という美鳥の言葉、これは美魚が望んだ結末だということでしょう。
 ただ、美鳥にも影がない。影のない美魚に美鳥がいたように、美鳥に影がないということはまだ美魚の存在がどこかにあるということ。それは理樹の記憶の中にほかなりませんが、ならば実体もあるのか。理樹は美魚の存在を守ることができるのか。それが次回の焦点となります。

 

 しかし普段あんなに大人しい美魚の姿であんなに小悪魔ちゃんな美鳥は、見ていてドキドキしちゃいますね……これがギャップか……!

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