アニメ「艦これ -艦隊これくしょん-」第3話「W島攻略作戦!」感想 または艦娘が死と隣り合わせでいることができる理由

 冒頭のシーンが、このアニメの方向性を見せていると言ってもいいかもしれません。

 作戦説明を待つ間、和気あいあいと談笑する艦娘たち。和やかな雰囲気が一変、長門が入ってきたと同時にきびきびと整列します。

 アニメどころか、原作であるゲームの時点で、戦いを前にして悲壮感を漂わせている艦娘はいません。「行きたくない」という子は、誰一人としていないのです。

 ここが、僕らの目をくらませているのです。

 

見方を変える

 悲壮感を抱える人物がいない。みんな明るい子だから、見ているこちらは「キャラクター」の死や失敗に敏感になる。そんな姿を見ていないからです。だからきっと、誰も致命的なミスをしない“ほのぼの系”にしろと言う。

 とはいえ、いくら“ほのぼの系”にしろと声を上げても、その通りにはなりません。これはもう、消費する側の限界です。覆したいなら、二次創作でも何でも“作る側”に回るしかないと思います。

 でも、それはなかなか難しい話。ならば、自分の見方を変えるしかありません。見方を変えることで、新しく見えてくるものがある。それは自分の引き出しにもなるし、深みを持たせてくれる。アニメに限らず、どんなことでもそうだと思います。

 閑話休題しましょう。とにかく、アニメの艦娘は、年頃の女の子らしい生活をしている姿と、戦う者として死と隣り合わせの世界に飛び出していく姿の、2つの姿を持っています。しかも、前向きに、嫌がらずに。何をもって彼女たちは、その運命を抱え続けることができるのでしょうか?

 

死と隣り合わせでいることができる理由

 睦月が配属されたばかりの頃、戦闘で何もできないまま小破した睦月を、如月が付きっきりで励ましてくれたというエピソードが語られます。そんな経験もあって睦月は、己の力不足を嘆く吹雪に、彼女のあこがれの先輩・赤城をあてがいます。

 結局、その“仕込み”は吹雪にバレてしまうのですが、ずっと励ましてくれている睦月に恩返しをしたい吹雪は、そして如月にあの時のお返しをしたい睦月は、しかしどうすればいいかわからず戸惑ってしまいます。

 そんな2人に、先輩はこう告げるのです。

「誰も恩返しなど望んでいません。だから、ただ言えばいいのです。ありがとうって、思っていることを素直に」

 これは、明日をも知れぬ中で生きていないと、なかなか出てこない言葉かもしれません。彼女たちは、自分の命も、友の命も、明日あるとは限らない。「私たち艦娘は、存在したその瞬間から、戦うことを運命づけられています」という赤城の言葉は、艦娘という、この物語の根幹を担う存在の大前提です。

 赤城は、それでも艦娘でよかったと続けます。「大切な人たちを守ることができる。大好きな仲間と一緒に戦えるのだから」と。死と隣り合わせだからこそ、その死から大切な人を守ることができる。一緒に戦えるからこそ、大好きな仲間を救うことができる。だから、戦争の中に生きる者の悲劇的な運命を、彼女たちは力強く受け入れることができるのです。

 「大切な人への、大切な気持ちを伝えることをためらわないで」……もしかすると、赤城にはそんな経験があるのかもしれません。「明日、会えなくなる」ということを、彼女は身を持って知っているとしたら、あの優しげな笑顔は……というのは、やや考え過ぎですね。

 

轟沈の“答え”はまだ先に

 ピンチ、ピンチからの逆転、メリハリの利いたアングルと、1話から相当にグレードアップした戦闘シーンは、思わず見入る出来でした。

 その分、あまりにも唐突だった如月の轟沈。史実と同じく、ウェーク島攻略作戦で、ワイルドキャット戦闘機から放たれた爆雷での撃沈でありました。

 彼女の轟沈が、この物語の中で何を意味するのか、今はまだわかりません。受け止める人たち――吹雪と睦月――が、まだそれを知らないからです。

 「明日、会えなくなるかもしれない私たち」だからこそ、大切な人に伝えられることを赤城に教えられた2人が、「明日、会えなくな」った大切な人の存在を知って、何を思い、どう受け止め、いかに乗り越えていくのか。

 そこに彼女たちの、キャラクターではない“人生”が見えるはずです。

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  1. クッキー 2015.01.27 11:28pm

    「見方を変える」という考えが凄くしっくり来ました。
    3話の感想が賛否両論の嵐になっているのも、自分の中での理想・考えがしっかり固まってしまって、他のものが入り込む余地がなくなってしまった結果なのかな、と考えています。
    ばかいぬさんのような柔軟な考えを持つようになれば、ブログに書かれている通り、自分の価値観だけでは得られない、新たな発見があるでしょうし、作品を楽しむことができると思うのですが…なんだかもったいないな、と思ってしまいます。
    わざわざ入れたからには如月の轟沈にもきっと意味を持たせるはずですし、どういう展開にするのか気になるところです。元々原作のユーザーではありますが、より楽しみになりました。
    長々と失礼しました。今後の更新も楽しみにしてますね!

    • bakainu 2015.01.27 11:53pm

      クッキーさん

      コメント、ありがとうございます! とっても嬉しいです〜!
      僕のイメージですが、最近はシリアス展開って毛嫌いされていて、この3話のようなストーリーは叩かれてしまうように思います。
      でも登場人物がその壁を乗り越えた時、新しい何かを得られるはずですし、見ている方も同じものを享受できるというのが、フィクションのすばらしいところだと思うんですね。クッキーさんのおっしゃるとおり、それが「作品を楽しむ」ということだと僕も考えています。

      如月の轟沈には何か意味を持たせるはずだと思いますし、それが何なのか、すごく気になりますね!
      コメント、すっごく励みになりました。改めて、ありがとうございました!

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