アニメ「艦隊これくしょん-艦これ-」第1話「初めまして!司令官!」感想 または“物語のエンジン”を担う2人について

アニメ「艦隊これくしょん-艦これ-」第1話「初めまして!司令官!」感想 または“物語のエンジン”を担う2人について

 半年ぶりのアニメ感想連載です。題材はアニメ版「艦これ」。「ラブライブ!」の脚本・シリーズ構成を務めた花田十輝さんが、同じく脚本とシリーズ構成をご担当されているということで選びました。

 原作はもはや説明不要のブラウザシミュレーションゲームです。僕もいち「提督」として楽しんでいます――といっても、1ヶ月遊んで2ヶ月離れるというようなスパンなので、あまり「提督」とは名乗れないのがやや心苦しいところ。一応、横須賀鎮守府なんですが、また司令レベルは80ちょっとです……。

 この原作のゲームなのですが、多少の世界観は設定されているものの、具体的なストーリーはほぼありません。そのため、アニメ版は半分オリジナルとも言えます。数多いる艦娘の中で主人公に選ばれたのは、特型駆逐艦・吹雪。彼女が鎮守府に着任したところから、物語は始まります。

 

特型駆逐艦

 新しい鎮守府で、第三水雷戦隊に配属された吹雪。といっても、彼女は艦娘である前にいたいけな女学生でもあります。戦いにきたのは確かですが、転校してきたような感覚もあったのではないでしょうか。その中で初めて出会った艦娘が、優しくて面倒見の良い睦月だったのは僥倖でした。

 ところで、特型駆逐艦というのは一体何かといいますと、ざっくりと表現するならば「すげーやべェ駆逐艦」です。普通よりもたくさん兵装を担げるくせに、そうとは感じさせない速さで航行できます。軍艦はまったくの門外漢なので詳しい方に説明を譲るとして、

 要するに彼女は“鳴り物入りで入団してきたルーキー”だったわけですね。

 しかし実際の吹雪は、実戦経験がないどころか、運動もろくにできない艦娘でありました。

 

物語のエンジン

 初の実戦で、僚艦の足を引っ張ってしまう吹雪。すわやられると覚悟したその時、彼女を助けたのは“第一航空戦隊の誇り”赤城でした。

 この1話では実に多くの艦娘たちが出てきましたが、ひとつ物語の軸と言えるのは主人公の吹雪と、この赤城ということになりそうです。その名声は過去に吹雪がいた場所にも轟いており、弓を引く姿を目の当たりにした吹雪は一目惚れしてしまいます。優しい言葉をかけられたばかりか、命まで救ってもらった吹雪は、すっかり赤城に心酔し、憧れの存在ができました。

 

 これが、物語に重要な、主人公の「動機」です。

 

 動機というのは、人を前に向かせ、背中を押すもの。つまり、物語を進めるエンジンと言うべきものです。流されるがままに戦いに赴き、何もできずに帰ってきた吹雪はひとり落ち込んでしまいましたが、提督の励ましにより、「もっと強くなって赤城の護衛艦に就く」という夢と目標が生まれました。動機という“物語のエンジン”を持つ主人公と、その対象となっている憧れの的。まずはこの2人を軸に据えてストーリーを追っていくといいやもしれません。

 しかし、赤城はゲームではその修繕資材の消費量の多さから「大食らい」キャラクターがすっかり染み付いてしまいましたが、1話でこれだけ格好良く描かれてよかったです。本当は強くて優しい、綺麗なお姉さんなんですよ。手を腰に当てる姿勢は袴なら格好がつくのですが、ミニスカじゃちょっと似合わないかな……。

 ところで、アニメ版でも提督は声も顔も出ない存在となっていますが、実戦経験がないという吹雪に「なんとかなる」と言ったり、落ち込む吹雪を励ましてあれだけ立ち直らせたり、少々楽観的すぎるきらいもありますが、人を前向きにさせるものを持っているのかもしれませんね。

 

ゲームとアニメの台詞は違う?

 艦娘は艦娘の前に少女であると書きましたが、ということは少女から艦娘にもなるというわけです。この“少女”と“艦娘”を結ぶのが、あの出撃シークエンスでした。思っていた以上に近代的なイメージ。引っ張られるがままに艤装に身を包んだ吹雪ですが、あれがきっちり装着されるようになると格好良さそうです。

 一方、どうしても目についてしまったのが戦闘シーンの鈍重さと、セリフの不自然さです。

 前者は実際の艦隊戦もそう速度が出るものではないと思いますがが、アニメでは艦戦ならぬ艦娘の大きさが生身の人間と同じであるぶん、実際の艦隊戦にあるダイナミックさに欠けて見えたのかもしれません。これはこのゲームの世界観上、仕方のないことでしょうか。

 問題は後者です。ゲームでも艦娘はよくしゃべり、それがそのまま「決め台詞」のようになっている言葉も多々あります。1話でも度々出ていて、愛宕の「ぱんぱかぱぁーん」や睦月の「張り切ってまいりましょう!」、加賀の「ここは譲れません」などがそうなのですが、アニメで出てくるとどうしても“言わせた感”を覚えてしまうのです。

 思うにこれはゲームとアニメの、台詞の質の違いではないでしょうか。ゲームの台詞は、少なくとも「艦これ」に関しては会話ではないのです。会話の中で生まれた決め台詞ではなく、言ってしまえば独り言の中から決め台詞が出てきています。それを、会話が必要なアニメ(という芝居)に埋め込んだものだから、違和感を覚えてしまったのかなと考えています。結果として会話になった台詞もあるのですが、それでもなんだか変に思えたの、僕だけですかね……?

 

 と、最後は批判的になってしまいましたが、多種多様なキャラクターとこれまでにない世界観が魅力的なのは疑いようがありません。ゲームの中の世界観がいかに映像とストーリーに起こされるのか、とても興味深く思っています。特に「艦これ」を描く上で避けては通れないであろう「轟沈」がどのように表現されるのか、そもそも描かれるのか、非常に気になります。

 鈴谷の出番とむっちゃんの見せどころを……早く……!

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