賭け狂いましょう=本気、出しましょう。「賭ケグルイ」はスポ根だ

賭け狂いましょう=本気、出しましょう。「賭ケグルイ」はスポ根だ

生徒会とギャンブルが支配する「百花王学園」を舞台に、ギャンブルが大好きすぎる女の子・蛇喰夢子を描く作品「賭ケグルイ」。常軌を逸した顔で言う「賭け狂いましょう?」が夢子の決めゼリフです。アニメも放送されていたので、目にした方も多いのではないでしょうか。

「賭ケグルイ」は一見すると、ちょっとイカれた黒髪巨乳美女を中心としたデスゲームモノです。莫大なカネと権力を持つ百花王学園生徒会の面々に対し、素性もわからぬ一生徒・夢子が、その天才的なギャンブルの腕をもって挑む。

しかし、改めて原作を読み直してみると、「賭ケグルイ」はスポ根なんじゃ? と思うようになりました。夢子の「賭け狂いましょう?」には、至極まっとうな意味合いが込められているのです。

この学園に集まる生徒たちは、とにかくお金持ち。どこかの財閥令嬢だったり、大企業の跡継ぎだったり。お金だけでなく、地位も将来も約束されている存在です。

しかしそれは、守るものが多いということでもある。勝者は多くのものを持つゆえに、それを守ろうとしてしまいがちです。ましてやこの学園には、借金を背負った者は「家畜」として生徒会が計画したとおりの人生を送らねばならない制度が導入されており、なおさら負けたくない。

一方、夢子には守るものがありません。彼女の過去やバックグラウンドは大変気になるところですが、少なくとも今の彼女は何かを守ろうとしている素振りを見せていません。ただただ純粋に、ギャンブルを楽しんでいるのが夢子です。だから「守る人」にはわからない手を打ったりしますし、楽しいギャンブルに皇伊月など他人を巻き込もうとします。

「ギャンブル」という言葉に、皆さんどんな印象を抱くでしょうか。一攫千金、イカサマ、中毒……おそらくこういった言葉が連想されると思います。決してクリーンなイメージはないですよね。

しかし、そんなダーティな言葉・行為に隠されていますが、夢子が他人に、そして自分に求めているのは、一貫して「本気になろうぜ」なんです。

守らなくてはいけないと思っているものすべてを投げ打って、ただ目の前の勝負に金を、命を、人生をかける。改めて見たり読んだりしていただくとわかるのですが、夢子が吹っかけた相手は、全員「本気」を出しています。金や命「を」賭けるのではなく、誇り「に」懸けているのですね。

実はこれ、「ラブライブ!」でいうところの「今が最高!」と同じで、表現が違うだけなんです。目の前のことに全力を注ぐという行為に変わりはありません。

誰かが目の前の勝負にすべてを賭けたとき、夢子はドエロい顔で絶頂します。それが一番、性ならぬ「生」を感じるからなのでしょう。「目の前の試合にすべてをぶつけろ」が「賭け狂いましょう?」なのです。超スポ根なんですよ。

億万単位の金、前途洋々な将来を顧みず、今目の前にある勝負に本気を出すなんて、狂わなきゃできない。でも、自分の手で未来をつかむことで、初めて手に入るものがある。だから「賭け狂いましょう?」。

そうして本気を出した人間を、夢子は軽蔑しません。伊月とともに人生をかけた豆生田楓もそうだし、アニメ最終話の鈴井もそうです。逆に、本気を出しているように見えて、快楽のためなら負けてもいい生志摩妄には軽蔑の目を向けます。

夢子が必ずイカサマの上をいくのも然り。メタ的な論じ方ですが、イカサマは要するに「保険」です。安心できるもの。でも安心してしまっては、本気になれない。だから、本気の人間を描くこの作品では、イカサマは破られなくてはいけないものなんですね。

同じく、誰かの本気=輝く姿を見たがっているのが生徒会長・桃喰綺羅莉です。ただ、他人の本気を純粋に楽しんではいますが、彼女の本当に求めているのはそこじゃない。会長が欲しているのは、自分が本気を出す気持ち良さではないでしょうか。これまた「ラブライブ!」風に言えば「輝きたい!」ですね。そうなれる相手を探している。

それはもしかしたら、夢子も同じなのかもしれません。彼女自身はギャンブルを心底楽しんでいる=本気を出していますが、その本気のレベルをもっともっと上げたい。要するにより強い刺激を欲しているんですね。ここは純粋にギャンブル狂らしく、また人間らしくもあります。

素性も背景もわかりませんが、夢子には欲がある。だから、ヒーローのような存在でありながら、親近感を抱くことができるのでしょう。そんな彼女の活躍を、アニメでも漫画でももっと見ていたいものです。最近はリリカが可愛くて可愛いのですが、アニメ2期で見せてくれないかな……?

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